積雪期搬出訓練
 報告者   : 徳田幸子 

日   時 : 2012年2月5日 午前9時より
訓練場所 : イン谷口、 1ルンゼ出合
天   候 : 晴れ
参 加 者 : 約50名   京都田辺山友会より 徳田(幸)、 吉津、 佐坂(登山学校受講生として)
訓練時間 : 9:15〜12:00ビーコンとプローブでの探査 
        13:00〜15:00 搬出、引き下ろし訓練


労山企画の積雪期搬出訓練に初めて参加をする。さすが山男山女揃いでいつもの我が山友会とは雰囲気がちがう。

労山の会長からの挨拶・スケジュールの説明をされる。ビーコン・プローブでの捜索訓練の班分けがあり。三班に分かれ講師より使い方の説明がある。ビーコンの発信、受信の確認をして発信機が埋まっているところを探す。山友会のビーコンは古い為か字が消えたり方向が定まらない。新型を持っている人はいつも早い。今度は旧型を持っている人だけで探す。時間はかかったが埋まっている場所は見つけることはできた。次はプローブの使い方の説明、肩幅に足を広げ一列に並ぶ、リーダーの指示に従い右、左と突き刺す。前進と指示されると前々と進んでいく。「体に傷を付けてしまうのでは?」との質問 「目、顔など突いて潰れても命があることが一番、少しでも早く探すことが大事です。」と回答でした。なるほどそうだと思いました。

 トイレ広場より一時間登って1ルンゼで昼食をとる。負傷者の梱包・引き上げ引き下ろしの説明を受ける。人間を全身包めるブルーシートにマットを敷き、頭部分にリユック、ジャンパー服など敷いた上にハーネスを装着し寝てもらう。ロングテープ、カラビナ等を使い全身を包み込む。

     
     
     
     

急斜面を長いロープを引っ張りながら8名で降ろす。班長が指示をし横斜面に落ち込まないよう注意しながら降ろす。降ろし始めてすぐカラビナが外れつけ直す。その後は上手く降ろす事ができました。班長が負傷者に今の状態がどのようなのかよく声掛けをされていましたが、全身覆われている方はもつと声掛けがほしいとのこと、私達はゆっくり降ろしているのですが、スピードがでているように感じられたようです。班反省=ブルーシートは梱包をするには不適応 (カラビナをロープで巻くと滑る)

 訓練に参加をして今まで知らなかったことを覚える事ができ大変勉強になりました。

山友会の方も機会がある時はぜひ参加をされると良いと思いました。
 
感想文
 佐坂茂美
 

登山学校のカリキュラムに含まれていたこの訓練は京都労山主催で“かんなび”でも案内されており、京都田辺山友会からは最多例会参加者の吉津さん、この1月に個人山行で「北八ヶ岳縦走」に参加された徳田さんを含め田辺山友会からは3名の参加となった。

 

これまで「学校」での学習は遭難者を発見する時点までであるが、今日のカリキュラムはそれ以後の遭難者の搬出である。

 

8時10分 

イン谷口到着後、ビーコンチェックをし、冬山装備で集合場所の公衆トイレ前に行く。 期待していた積雪は然程でもなく少しがっかりした。

 

8時30分

受付開始。 主催者の挨拶、スケジュールの説明を終えいよいよ訓練開始である。

参加者数の発表はなかったが、多分50名前後の参加者ではなかろうか?

 

9時15分

ビーコン、プローブでの捜索訓練開始。

午前中の班編成は「ここから右はxx班」、「こっちはxx班」と大雑把な分け方で私の班は9名の班となった。 互いに自己紹介をするでもないまま早速講師が埋めたビーコンを遭難者と見做し捜索訓練開始となった。

 

これで4回目のビーコン操作となり、矢張り「慣れ」が気持ちを楽にしてくれ10m前後の埋没地点にはスムーズに到達できた。 捜索訓練は3人毎で実施し、中には発見地点にプローブを立てて1グループの訓練は終了である。 それを何度か繰り返した後は「プローブ探索」である。 横一列に並び、40cm程度の間隔を空け、鉛直方向に「左」「右」の号令に従い左右が終わると矢張り40cm程度前進する。 これを繰り返せば、遭難者の身体のどこかの部分に触れる筈である。 この方法は直線的での捜索であるが、円を描くような方法もあるらしいが直線方向の場合と比較し雑になり易いとかでこの方法の訓練はなかった。

 

捜索訓練終了後、参加者の班編成が行われ 私は「初級登山学校受講生」の一員となる。

 

班単位で1ルンゼ出合を目指して雪道登攀の開始となる。 積雪はしっかりと踏み固められており、斜度は20〜30度か? アイゼン装着は無くフラットフッテイングで登って行く。 途中、何度か斜度のキツイ場所もあり、山友会の山行であれば 「アイゼン装着」の指示でもっと楽に登れたはずだが。

 

12時15分

1ルンゼ到着後、昼食となる。 

 

1時頃より

講師連による「梱包の説明」(珠にテレビで放映される遭難者を包みこみ、引き下ろしをするあの梱包である。) 

1人が遭難者となりツエルトのような敷物2枚を使い、ザック、カラビナ、ロープシュリンゲ、テープシュリンゲ、 ロープを駆使し、流動分散ができるように繋ぎ合わせる。 見事である。

 

講師による梱包の実演の後は班毎の実践である。 私の班「初級登山学校」の受講生の中に1人、かなりの経験者(労山救助隊登録者)がおられ、その方がリーダーを引き受け、又女性受講生の1人がロープワークに長けており 非常に助かった。 私の役割はアンカーでロープの最後の部分を持ちスピードコントロール等。 急斜面では立木にシュリンゲ、カラビナを付けロープを通し遭難者が安全、確実に引き下ろされるように徐々にロープを伸ばしスピードコントロール。 被梱包者が緩斜面に着いた後、伸び切ったロープを再度巻き直す作業でロープが縺れてしまい、数度の急斜面での同様の作業は困難を極めた。 又、被梱包者が緩斜面に到着後の歩行スピードは通常であるのに対し、私は未だ急斜面を下っているため、何度かつんのめり、転倒する羽目になった。

 

2時30分

どの班も最終の目的地点(集合場所)までは引き下ろすことは出来ず、時間終了で訓練終了となり被梱包者も開梱し自由に。  

 

集合場所で班毎に個々の感想の発表と一言(?)感想文の作成、提出。 各班の班長による班毎の感想の発表で訓練は終了した。

初級登山学校10期生」の感想発表会

 

このような場面に遭遇したくはないが、ロープワーク、シュリンゲの使い方、引き下ろしのコントロールの難しさ等々、多くの課題を発見する訓練となりましたが、梱包される立場にはなりたくないとつくづく思いました。
写真提供 : 佐坂