五竜岳・鹿島槍ヶ岳縦走    


 
山行報告
 8月6日 台風により天気が不安定になったので予報に合わせて1日ずらしての実施となった。
予定どうり白馬に到着しゴンドラで兎平に着くと雨が降り出し、カッパを着てのスタートとなった。今日は唐松山荘までの行程であり危険な場所
もないので、気持ちの上では余裕がある。ガスに覆われて周囲の山は見えないが登るにつれて時々ガスの間から近くが見えてきた。
山荘に早く到着したので今日のうちに唐松岳に登っておくことにして7人が登頂した。

 8月7日 今日はキレット小屋までの長時間行動なので、明るくなるのを待って4時半スタ-ト、天気予報に反して小雨がパラツキ
(鈴木さんの前日のラジオ気象通報による天気図では気圧の谷間に位置していたので高山では不安定な状態であったと思われる)
カッパを着て難所を慎重に通過、遠見尾根の分岐をすぎると無事五竜山荘に到着。ここで朝食を済ます。
小屋を出て約30分登った時前方のガスが流れて大きくてどっしりとした五竜岳が現れた。幸運に皆感激する。鎖場を過ぎると山頂に到着。
ここからは鎖場の連続で時折ハシゴもある難所が次々とあり、金比羅山のYケン尾根のトレーニングの成果が試されるところだろう。
途中自分自身が岩にリュックが接触して約2m転落したが、大きな怪我もなくヒヤリハットですんでよかった。
次々と現れる岩稜に皆うんざりしながらも真近に見える剱岳・立山に慰められ五竜岳から約5時間歩いてやっとキレット小屋に到着した。
鈴木天気予報士作図の天気図では日本海の高気圧が東へ移動してきており天気は良くなる予報で、そのとうり夜になって雲も無くなり星空も見え、
対岸の剱岳もはっきりと見えてきた。

 8月8日 4時半、朝晴れてはいるが風が強く、気温約11℃で風除けにカッパを着てスタートする。小屋の横からすぐに急登でハシゴ、鎖が続く。
テラスでタイミング良く、太陽が雲海のかなたから赤く輝いて顔を見せ、周囲の山を赤く染めていく。急登は過ぎたが1時間ほどは鎖場や難所が続き、
目前に鹿島槍の大きな岩稜の北峰が現れ西山麓をトラバースして吊り尾根に着く。ザックを置いて北峰へ登る。
全方向遮るものなく、南は富士山・南アルプス・北アルプス南部、西は立山・剱岳、北は白馬三山から縦走してきた唐松・五竜岳など高い山は
全て雲の上に確認することができた。再び荷を担いで南峰へ、北峰より約50m高いのでより遠方の山が確認できて、
前日の悪天も今朝の好天に掻き消された気分で、2年来鹿島槍に挑戦してきてやっと好天に恵まれた人もあり感無量である。
下り布引山から冷池小屋までは花を見ながら満足した気持ちで順調に進み、小屋で早昼を食べてゆっくりする。
今回は赤岩尾根のコースで下る。唐松小屋で危険なハシゴがあるからとアドバイスがあったので、ロープを使うことを想定してシュリンゲの
準備もしていたが、路面もハシゴも乾いていて滑らなかったので無事下山できた。登山口からは林道を約1時間歩いて、
待機していてくれたバスで大町温泉へ、汗を流して気持ちよく帰りの車に乗車。夏山も無事終了した。

ヒヤリハット   ザックが岩に接触し約2m転落した。   ケガ手指擦り傷程度ですんだ。
反省点    1 共同装備の事前分配ができていなかった。
         2 登山口よりの林道歩きで指示不徹底のため、列が乱れてしまった。 
 
 
感想文
                       八峰キレットを越えて                           金本好彰

 雨の中 八方尾根をロープウエイとリフトで登る。歩行4時間で唐松の小屋までは雨も仕方ないと諦める。
小屋に着いたときは雨も止んでいたのでメンバーは唐松岳の頂上を目指したが、私は以前に登っているので、
今回は行かずに小屋でビールを頂いた。今朝は3時起きで寝不足なり。寝るところは、6人用の2段ベッドを指定されたが、
近くにベッドがたくさん空いている。私は、6人用のベッドに2階で一人寝ました。
翌朝4時雨、少し待ったが雨が止まず仕方なく出発する。唐松からの鎖場や痩せ尾根は雨に濡れて滑りやすく気が抜けない、
鎖を持って慎重に歩く。白岳を超えて五竜山荘に着いたときは、雨が止んでいた。小屋の前で朝食・風があり寒い。1人用のテントが3張り程あり。
これから五竜岳を目指す。五竜頂上近くは鎖・岩場あり苦労する。五竜の頂上からは難所の八峰キレットに入る。
急な坂道・岩場のトラバース・岩壁登り・痩せ尾根の連続で、所々に鎖があり慎重に歩く。
トラバースや痩せ尾根歩き岩稜上りを繰り返す。いくつもの山を越えてもまだ小屋までの距離や時間がつかめない、
そのうち少し休んだところからハシゴに巡り会えて半分ほどの工程を確認する。また雨が降りだした。カッパを着る。
来た道を振り返ると切り立っていて一歩間違えたらと思うとゾッとする。
その後も鎖場や・岩稜歩きを繰り返し、いくつもの山を越えて、進む。少し岩場に慣れてきた。ガレ場で落石あり、注意が必要。
岩場で先頭を歩く中島さんが2Mほど落ちた。危ない。手の指を少し怪我したようだ。
やっとキレット小屋が見えた。立派な小屋である。本には救助隊が常駐していると書いている。我々の後で到着する人がいる。
泊り客は我々より相当若い。荷物も重そうだ。今日の泊まり客は自炊客もいれて35人ぐらいか。めったに買わないが、
記念に鹿島槍八峰キレットのバッチを買った。食事後少しのミーティングあり。寝床から見る夕日に輝く劔岳は言葉に表せないほど素晴らしかった。
翌朝晴、やっと素晴らしい天気に巡り合えた。小屋からみる鹿島槍への上りは急登の岩壁で慎重に登る。
「ここはキレットです、お互いに声をかけ合って慎重に通過してください」の看板あり。連続した鎖場・ハシゴ有り。
3時間ぐらいで鹿島槍の分岐点に到着する。吊り尾根を北峰・南峰走破する。
2年前は針木から鹿島槍南峰まで来たが悪天候で引き返したことを思い出す。
帰りは冷池山荘を越えて12人全員が無事に赤岩尾根を下山した。
今回は、中島さんに無理をお願いして金比羅でのトレ・大峰山・六甲や御在所のトレを繰り返した。でも腰痛が出てきて困った。
私は、今回の八峰キレット山行で、親不知から針木まで連続して歩いたことになり感動した。
今回・前回のCL・SLに感謝します。なかなか個人山行では来れないところです。 
 
★山はこうでなくちゃ!! 最終日のピーカン よかった(^O^) ま                              鈴木正範
 
★三年前に五竜岳を目の前にし、雨の為に断念しましたが 今年は念願の唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳に登れて嬉しいです。
  皆さま有難うございました。                                                 徳田幸子
 
★今回の夏山は覚悟はしていたが最初から最後まで岩、鎖、梯子の連続だった。 
二日目の唐松ヶ岳頂上山荘を後にするとすぐに「牛首」と呼ばれる岩場になる。鎖がかかっていて一歩 一歩ゆっくりと進んだ。
雨は降っていたが大雨でもなく吹き飛ばされそうな風もなく大分たすかる。
やっと五竜山荘に到着。 再びクサリ、ジグザグの急な坂、コースのガイドブックにも書かれている危険な難所。
G4、G5と呼ばれる岩峰を岩を抱きかかえるように三点確保で体を移動しなければならない。
 「そこに足をかけて」、「ここに手をおく」と言葉少なに、しかし的確なアドバイスがある。 こんな立派な山友会のメンバーに恵まれて、
私は幸せだと感じた。 落石をしないようにクサリを頼りに下る。 「三段登り」と呼ばれる岩場を過ぎるとホッとする間もなく、
又クサリ、梯子、クサリと岩場を回り込む。 やっと眼下にキレット小屋を見つけて時は本当に 「やれやれ やっと着いた」と嬉しかった。 
体は疲れているし、明日は歩けるかなと一瞬思ってしまっていた。
とにかく落石をしないこと、岩壁にリュックの側面が触れることにより、はずみによる転落、滑落をしないように気が休めない行程だった。
気持ちは若い積りでも こんな高齢者になって皆さんに迷惑をかけないように頑張った山行だった。 皆さんありがとうございました。
                                                                  上杉郁子
 
★1日目から2日目にかけては雨まじりの天気でしたが3日目には好天に恵まれ、チングルマ、フウロウ、リンドウ等沢山の高山植物、
特にコマクサの可憐な姿を見つけふと涙ぐんでしまいました。 また雲海の中にご来光を眺める事が出来て感激でした。
今回の登山で改めて4つのことに気が付きました。
○ リーダー、サブリーダーの責任の重さ
    天候悪く出発日延長の判断をされたり、計画、山行での誘導指示判断等「安全に連れて帰る」責任の重さを身近に感じて
    一人一人が技術を積み重ね体力作りをすることが必要だと思いました。
○ 登山前練習の大切さ
    Yケンに参加したことで岩にも慣れたことで3点確保の大切さが分かり、五竜岳で落ち着いて岩場を登れたことで必要な訓練だと痛感しました。
○ 登山は常に命がけ
    今回ヒヤリハットがあり私も石を落してしまい、もしも真下に人が居たらと想像するだけで背筋に寒いものが走りました。
    安全な歩行の大切さを感じました。
○ 研修の大切さ
    ガレ場、雪山等状況に応じた歩き方や緊急時の傷の手当等研修が必要(特に自分に・・・)だと感じました。

白馬からのロープウェイに乗る際にリュック忘れに気が付いて動き出した所から降ろしてもらいました。 
トイレのスリッパを履いて出たり・・・。 自分のヒヤリハットでこれから注意します。
最高の山に登れて素晴らしい思い出となりました。
皆様ありがとうございました。 
                                                                  姫島百合子
 
                    長かった岩稜歩き
                                                             内匠美佐子
 唐松岳へのスタートは八方尾根から始まる。今年の1月スキーを楽しんだ八方尾根から雪の唐松、五竜、鹿島槍の山容を眺めいつか登ってみたいと思っていた。ゴンドラとリフトを乗り継いでいる頃から雨が降り出してきた。昨年の夏山と同様雨具を装着しての出発です。前方はガスで何も見えない。期待していた八方池は一瞬見えただけ。時々ガスの切れ目から見渡す山々に感動し、黄色やピンクの高山植物に癒されながら高度を上げて行く。
雨は止んできたが汗が滴り落ちる。雪渓に近づくとひんやりとする。すれ違う下山者が「朝はどしゃ降りの雨だったよ」と教えてくれた。
唐松岳山頂からは360度見渡せるがすぐ雲に覆われる。唐松山荘のトイレは綺麗だった。山ガールには好評だろう。
山荘に設置されている明日の天気予報は9時以降晴れマークだったので少し喜んだが、明くる日の早朝は雨で気分は沈む。
晴れてくることを願いながら雨具を装着して出発する。濡れた岩稜のアップダウンは充分注意するが怖々である。
五竜岳を過ぎ、キレット小屋に辿りつくまで豪快な岩稜のアップダウンを何回繰り返しただろうか?
登りは割合スムーズに三点確保で行けるが下りは苦手です。休憩毎に地図を広げ現在地を確認しあとどれ位あるかと予想する。
到着はまだかまだかと思うと足は急速に疲れてくる。予報通り雨はあがってきた。早朝4時半出発し、キレット小屋に15時40分着。
休憩を含め約11時間の歩行でした。
三日目やっと快晴に恵まれた。日の出と共に山の上から見下ろす一面の雲海に見惚れる。
緊張していた八峰キレットは鎖と鉄梯子のお陰で難なく通過できた。鹿島槍ケ岳の北峰と南峰に立った。メンバー一同握手で喜びあう。
富士山が見える!槍が見える!おぉー剣、立山連峰がと口々に出る。やっぱり快晴に恵まれることが一番やねーと笑顔になる。
見上げる紺碧の空、見渡す雪渓と雄大な緑の山々とっても綺麗でした。
 
★三度目の正直、そして三年越しの念願が漸く叶った夏山山行となりました。それも見事な成果を以って!
3年前の夏山山行、白馬三山からの縦走で五竜に登る筈だったのですが、最終日雨にたたられ止む無く五竜山荘から遠見尾根を下りました。
そして2年前の夏山山行、今度は針ノ木雪渓、針ノ木岳から鹿島槍~五竜縦走を目指したのですが、
鹿島槍南峰まで行ったところで北峰への下りが物凄い強風とガスに阻まれ、危険とのCLの判断で勇気ある撤退となったのでした。
そして今年、夏山山行に五竜~鹿島槍縦走が計画されたのを知り即参加を決めました。7月一杯は暑い暑い快晴の日が続いたのですが、
8月に入って天候が怪しくなって来ました。今年も天は味方せず・・・かな、等と少し危惧しながら家を発ったものです。
結果はバッチリ、1~2日目と小雨には遭いましたが、唐沢岳山頂、五竜岳山頂ともに晴、ガスも無く素晴らしい展望を堪能する事が出来ました。
最終日3日目は朝から快晴、鹿島槍北峰・南峰山頂からは目の前に剣岳、立山の峰々、南には八ヶ岳、槍ヶ岳そして遠くには富士山が、
雲海の上に見えていました。これ以上望んでは罰が当たりそう。
肝心な山行そのものですが、やはり五竜山荘からキレット小屋、更に鹿島槍山頂までは直登と云える岩乃至崖登りと直降下の連続でした。
3点確保を常に意識したのは勿論ですが、安全な岩を確認し落石を起こさないよう一歩一歩を運ぶ為、身体よりも神経が少々疲れてしまいました。
それでも今は十数年前と違い鎖や足場が確保されている為、注意しさえすれば(勿論雨風ではまずい)左程にびくつく事は無い感じだ。
但し岩場トレを積み、足腰を鍛えておくことは大前提である事は云うまでも無い。私は何よりも落石(受ける事、起こす事共)に一番神経を使った
感じがしている。何せ直登・直降の連続であり、ガレ場も多い、落石が起これば重大災害に直結することになろう。
今回も一度落石が目の前で起こり被害こそ無かったものの、その怖さを実感した。
今回の山行を総括して云うなら、大きなノコギリの歯をこびとが「えんやらさ、どっこいさ」と登ったり下ったりした印象だ。
「もう岩場は十分、のんびり尾根歩きしたいものだ。」、一日中これを繰り返すとそんな思いが強くなる。
きれいな高山植物にも次々と出会え、疲れを一刻十分に癒されたものです。
3度目の正直が本当になった事、日本アルプスの岩場の一端を垣間見ることが出来た事、
そして私自身これと云うトラブルも無く山行を楽しめた事、等々思い出に残る山行となりました。
CL、SL始め同行頂いた皆さんに感謝です。有難う御座いました。 
                                                                      中廣正典
 
★土曜日に山小屋に泊まる難儀さを回避した計画を 更に天気の都合で一日順延したお蔭で、宿ではユックリ眠れ、
天気も大方良好で計画通りのコースを全員無事に下山出来たことは、ほんとにうれしかった。丁度、オリンピックと重なり、
成績優秀な方々が、「みなさんのお蔭、自分一人で出来たのではない」と感謝していましたが、今回の五竜・鹿島槍の縦走成功は同じ感想でした。
今回のグループの中で、小生は最高齢者で体力的にも皆さんに劣る元「釣り名人」。
3年前の夏、白馬岳―不帰の剣―五竜小屋に行った時に「釣り名人」返上の許可をリーダーから頂いたばかり。
しかし、初日から、左足がチクチクする。その後はずっと3番手を歩かせてもらう。この夏山に向けて、結構トレーニングを積んできたつもりだったが 
オカシイ! 夜はマッサージに努めたが、翌朝 完全には治ってない。山のぼり後の筋肉痛とは違う感触だ。下りでは問題ないが、上りでチクチクする。後方から小股で歩くようアドバイスの声! 靴ひもを少し緩め、最小幅での小股登りをしているうちにだんだん体も慣れてチクチクもなくなり、ホットする。
五竜岳に登る途中での雲海に浮かぶ日の出、頂上では霧が晴れ下界や山並みが望まれ夏山の醍醐味を味わえた。
険しい岩場を四つん這いになって何度も超え、耐久レースは11時間に及ぶ。疲れたのは小生だけではなかったようだ。
中高年は標準の3割増し以上の時間が必要だ。普段の体力作りの大切さを一段と感じる。
今年の夏山トレは中途半端が多かったようだが、9-10時間のトレーニングが必要に思う。
昨年ギブアップした鹿島槍の北・南峰もソコソコの風はあったが、青空のもとで無事頂上を極め、360度の景色をたっぷり堪能できた。
もう2度と来れないであろう鹿島槍とこの景色にサヨナラを告げる。
帰宅後、写真をみると、マアーこんなところをよく登ったものだと我ながらビックリしつつ、今回の夏山の余韻に浸っています。
しばらくは山に行かなくてもよさそうだ!!
CL,SLをはじめ、お世話になった同行の仲間 いろいろありがとうございました。
来年の夏山は元気で行けるかなー! きっと行きたくなるに違いない! 
                                                                       山下 隆
 

     差し入れのスイカを頂く                   いざ唐松山荘へ                  唐松山荘へ向かって八方尾根を行く
 

            唐松山荘での夕食。                                   五竜岳頂上にて。 
 
 
          岩稜を下る。                     岩稜を超える。                 キレット小屋が見えてきました。 
 
 
       ご来光を待つ。                                ご来光
 
 
          北峰よりルートを振り返る。                                 鹿島槍ヶ岳頂上にて。
 

              冷池小屋へ 。                                     北嶺・鹿島槍・南峰
 
 
            下山後の歓談風景。