黒部五郎岳山頂/

山行日
2009年7月12日(日)
天候
曇り
コース
8/2京田辺5:20⇒10:10立山IC⇒11:30折立登山口12:15⇒14:05三角点⇒16:50太郎平小屋:8/3:4:00⇒10:30黒部五郎岳⇒16:20三俣蓮華岳⇒17:30三俣山荘:8/4:4:40⇒6:25鷲羽岳⇒9:00水晶小屋⇒9:55水晶岳⇒13:30祖父岳⇒15:30雲の平小屋:8/5:4:00⇒7:00薬師沢小屋⇒11:00太郎平小屋⇒15:10折立登山口
参加者
リーダー:山口   サブリーダー:秋月
男性:倉光・西上・樋口・村上・守口 
女性:大谷・長野・吉津
合計:10名


    山行報告  山口 博
  3年前の7月薬師岳に登り、薬師沢小屋では夜の豪雨で、黒部川が増水して登山道が水没していました。雲の平へは無理と諦めていたら、小屋のスタッフが梯子で仮設の橋を架けて呉れ、何とか渡れました。 雨は上がったものの雲の平への登山道は急登の岩場で、まるで滝のようでした。 翌日も朝から雨で、スイス庭園を過ぎて祖父岳の稜線に差し掛かった時、前を歩いていたSさんが強風に煽られ飛ばされかけました。これ以上進むのは危険だと判断して小屋に引返しました。 雲の平小屋の主人の伊藤二郎さんが心配して呉れていて、水晶小屋と三俣山荘に「12時までに着かなければ、偵察隊を出してくれるよう」に連絡し呉れていました。今回はその時のリベンジの山行です。 家を出る時はバケツをひっくり返したような雨でしたが、天気予報の晴れるを信用して出発しました。

  8月2日(日) 雨のち晴
 新田辺―北陸道―立山IC−有峰口―折立登山口―三角点―太郎平小屋 折立ヒュッテ登山口には11時30分に到着して、ここで昼食を済ませて12時15分に出発しました。 いきなり急登ですが樹林帯の中の登山道は涼しく、余り汗も掻かずにゆっくりしたペースで登り、2時間で三角点に着きました。ここからは稜線で整備された木道が続いて、登山道の両脇にはニッコウキスゲの黄色い花などが、心を癒してくれます。太郎平小屋には予定通り16時50分に着きました。

  8月3日(火)晴
 太郎平小屋―北ノ俣岳―赤木岳―黒部肩―黒部五郎岳(往復)―黒部五郎小屋―三俣蓮華岳―三俣山荘 「黒部五郎は人名ではない。山中の岩場の事をゴーロという。五郎はゴーロの宛字で、黒部川の源流近 くにあるから、黒部のゴーロ、すなわち黒部五郎と成ったのである。」・・深田久弥 日本百名山より。
 3時に起き外に出ると満点の星空で期待が大きく膨らむ。ヘッドランプを点けて4時に出発しました。 登山道はなだらかな登りで北ノ俣分岐を過ぎたところで朝食にしました。此処からは北ノ俣岳と赤木岳と黒部五郎岳の登りのアップダウンが続きます。黒部五郎の肩にザックを置いて山頂まで往復1時間。
 黒部五郎岳はずしんと円錐の巨体で花崗岩の大きな岩で出来ていて、黒部五郎の肩からの下りはカールで花崗岩の羊郡岩や残雪、お花畑などの絶妙のハーモニーで、また五郎沢の清流は疲れを忘れさせてくれます。雪解けの冷たい水は最高の贈り物でした。振り返ると黒部五郎岳は大きく両腕を広げているような、岸壁の大伽藍のようです。
 黒部五郎小屋で休憩し、ここからの三俣蓮華岳への登りは、8時間歩いた体には物凄く堪えます。 登り1時間で稜線に出ましたが分岐の標識がなく、下山の人に聞くと未だ先との事、標高差450mの登りは矢張り半端ではない。分岐に出て巻き道を行くか頂上まで行くか相談しましたが、疲れているので雪渓を行くより尾根道のほうが安全ではないかと、30分位余分に掛かるが山頂経由で行くことにする。 皆かなり疲れていて登りの足が止まり勝ちで心配でしたが、何とか頑張ってくれて登れました。 三俣山荘には17時30分に無事に着きました。13時間30分のハードな縦走でした。
 Aさんは余りにも疲れて食事が食べられなかったが、三俣山荘には岡山大学の医学部の診療所があり、点滴をしてもらい翌日は元気になりました。三俣山荘と雲の平小屋は労山の会員割引で1,000円も返してくれて有難いです。小屋に置いていた三俣山荘の会報「ななかまど」を見るとオーナーの伊藤正一さんは勤労者山岳連盟の創設者となっていました。伊藤新道を開発されたとも書いて有りました。

  8月4日(火) 晴
  今日は北アルプスの中心の水晶岳でゆっくり展望を楽しんで、北アルプスの最奥部の雲の平の溶岩台地をのんびり散策出来るのが楽しみです。昨日頑張って歩いたご褒美の1日に成りそうです。
 雲の平には日本庭園、祖父庭園、ギリシャ庭園、スイス庭園、アラスカ庭園などの見所がたくさんある、三俣山荘の主人で雲の平を紹介し雲の平小屋、水晶小屋を作られた伊藤正一さんが命名された。
 槍ヶ岳から北方に延びる2本の尾根道は「表銀座」「裏銀座」と呼ばれ、表銀座は槍ヶ岳の東鎌尾根に西岳・小天井岳・燕岳を経て中房温泉に下る。このコースは2002年7月に歩きました。 裏銀座は北アルプスの主稜線で槍ヶ岳からの西鎌尾根から双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳・野口五郎岳・烏帽子岳・と続き、さらに針の木岳を越えて後立山連峰につながる。
 さて今日は行程に余裕があり、裏銀座の縦走路からの槍ヶ岳や北アルプス連峰を展望しながらの山行で楽しみです。 4時40分に小屋を出発しました。鷲羽岳の登りでは東の空が焼けてきて、槍ヶ岳から穂高連峰・笠ヶ岳などの展望が素晴らしい。
 黒部川は全長86kmの大きな急流で上の廊下から黒部湖に入り下の廊下を経て富山湾にそそいでいる。黒部川は北アルプスの大峡谷から流れているがその源流はこれから登る鷲羽岳の一滴からです。 その鷲羽岳には6時25分に到着しました。
 鷲羽岳からは稜線のアップダウンですが昨日と違い楽々です。水晶小屋は裏銀座の野口五郎岳方面の分岐にあり、水晶岳は縦走路から外れます。ここにザックを置いて水晶岳に登りました。 水晶岳は黒岳と呼ばれていて、石英閃緑岩の黒っぽい岩峰です。岩山を登り頂上に着いたと思ったがそれは南峰で、その奥に北峰の頂上が有りました。水晶岳と呼ばれて居る様に岩がキラキラ光っています。 頂上は北アルプスの真ん中に位置し360度の展望は北アルプスの連峰が見渡せて素晴らしい。 水晶小屋に戻り昼食にしました。水晶小屋は3年前に新築された綺麗な小屋で,Aさんなどは力餅汁で元気を回復したようです。ワリモ分岐に戻り岩苔乗越から祖父岳に登り、雲の平に下りました。
 祖父岳の下りの岩場では3年前の暴風雨を思い出しました。スイス庭園を散策し今登ってきた水晶岳を見てのんびり過しました。雲の平小屋には3時半に到着し、ビールで食事の時間まで歓談しました。 小屋からの黒部五郎岳の夕焼けが美しい。夕食は雲の平小屋特製の野菜、鮭が沢山入った石狩鍋で実に美味しい、お代わりして大満足の夕食でした。田部井淳子さんがNHKの撮影で来ていました。

  8月5日(水) 晴
 雲の平小屋―アラスカ庭園―薬師沢小屋―太郎平小屋―折立登山口―有峰口―亀谷温泉 雲の平小屋を4時に出発、整備された木道をアラスカ庭園まで2時間歩きました。ここからは直ぐに薬師沢までゴロゴロ岩の中の下山です。出発してから3時間で薬師沢に到着しました。 3年前の激流が嘘のように清流が黒部湖へ流れています。薬師沢小屋のテラスで朝食をとりました。 太郎兵衛平から太郎平小屋までの最期の登りは長く感じました。11時に小屋に到着して全員特製ラーメンの昼食です。折立登山口には3時10分に到着、厳しかったが楽しい縦走が無事終わりました。
 皆さんに頑張って頂きで無事に縦走ができました。ご協力頂き有難う御座いました。 サブリーダーの秋月さん後尾で色々気を使って頂き、有り難う御座いました。

ヒヤリハット ありません。






黒部五郎岳の縦走路

黒部五郎岳の従走路

黒部五郎岳

裏銀座縦走路よりの北アルプス連峰

鷲羽岳頂上

水晶岳

裏銀座従走路

水晶岳の下山道 

スイス庭園

スイス庭園
写真提供は山口さん

     感想文  
 
好天と高山植物に癒された北アルプス縦走
樋口 修//
  魅力ある黒部五郎岳から水晶岳への縦走。しかし、計画では2日目から4日目までの3日間は、所要時間が10時間から12時間の非常に厳しい行程となっており、自分の体力でついていけるか非常に不安をいだいての参加だった。
 心配された天候は、晴れ男、晴れ女が揃っていたのか、初日こそ時々霧雨が降ったが、2日目以降は好天続きで、眺望を十分楽しむことが出来た。
 行程の途中には、黒部五郎岳への登り、黒部五郎小舎から三俣蓮華岳への登り、鷲羽岳への登り等、急登も随所にあったが、雲ノ平をはじめとするお花畑があちこちにあり、ハクサンイチゲ、コバイケイソウ、チングルマ、キンコウカ、ゴゼンタチバナをはじめとする高山植物が咲き乱れ、疲れを癒してくれた。
 また、今回登った山は、いろんな場所で、ことなる表情を見ることができた。特に、鷲羽岳からみる黒部五郎岳北面のカールと雪渓、三俣山荘から見る鷲羽岳直登の異様な姿、雲ノ平から見る水晶岳双頭峰の端整な姿等、山行を楽しませてくれた。加えて、鷲羽岳山頂や水晶岳山頂からは、槍ケ岳から燕岳に至る表銀座縦走コースの山並み、真砂岳から烏帽子岳に至る裏銀座縦走コースの山並みの魅力ある姿を見ることが出来、いずれも歩いたことのない私にとって山行を大いにそそった。
4日目に太郎平小屋へ戻り、今回踏破した「黒部五郎岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳・水晶岳」を一望した時は、厳しい行程だっただけに感無量であった。 最後に、今回無事縦走できたことは、リーダーをはじめとするパートナーの方々のご指導とチームワークの賜物と感謝しています。ありがとうございました。
 



黒部五郎岳・鷲羽岳
秋月 康敏//
 8月3日(北の俣岳〜赤木岳〜黒部五郎岳〜黒部五郎小屋〜三俣蓮華岳〜三俣山荘:所用時間13時間)もうゴソゴソと音がしてるなと感じたら、誰かが「満天星空だ!すばらしい天気になるぞ!」と声が聞こえた。昨夜のうちに準備していたリユックなど再点検して表に出た。すばらしい星空だ!久し振りに天の川を見た。あれが織姫・牽牛で、あれがカシオペア・・・、手が届くようだ。最も見やすい北斗七星は山の下で見えない。星博士の説明に山小屋の若奥さんらしき人も一緒に聞いてウンウンとうなずいた。柔軟体操で体をほぐし、今日も元気だ・・・を実感した。ヘッドランプを付けて歩くのも久し振りだ。予定通り4時23分に太郎平小屋を後にした。雲上を歩く・・・、遠くの空がうっすらと明るくなってきた、雲海の向こうに槍ヶ岳が聳えている・・・メンバーは写真を撮りながら「あ〜!とか、うわ〜!とか、槍だ〜!」などと夫々の感嘆詞を発していた。
  6時35分北の俣岳に到着。ここの雲海の景色は何とも形容しがたいすばらしさだ。その後約1時間歩いて赤木岳に着いた。北の俣も赤木も大きな標識が無く、うっかりすると見過ごしてしまう。暫く歩くと前方に黒部五郎岳の全貌が見えた、8時18分だった。「何とも大きな山だ!あそこまで行くんかいな!あとどのぐらいかかるんかいな!」と独り言は、悲鳴にも似た自分の声だった。それから2時間歩くと黒部五郎岳の分岐に着いた。ここにリユックを置いて空身で登る、10時30分に山頂に着いた。360度のパノラマだ。全員での記念写真を撮りザラ場を下った。11時近くなったのでここで昼食と思っていたら、CLは五郎小屋まで行って昼食との指令だ。慌ててパンを口に入れたまま慌てて飛び出した。途中の大きなカールは見応えのある景色だ。下りきった所の水場で再度昼食を進言した。リユックも軽くしたいし、朝食は6時だったので腹が減りすぎると食べられなくなるからだ。そこの雪解けの水は手が痛いほど冷たくおいしかった。前夜の小屋で買ったお湯は少しぬるめだったがコーヒーはおいしく飲めた。昼食を済まして改めて五郎小屋目指して出発。
 13時25分やっと五郎小屋に着いた。太郎平小屋を出発して9時間かかった。ビールを飲みたいところだが、これから三俣山荘まで行かねばならない。冷やしてあるネクターを一気飲みした、そのうまかったこと!誰かが「ビール飲んだらクビやぞ!」と言った。標識は「黒部五郎岳カールコース」と「三俣・双六」とがあり、五郎小屋で泊まるだろうと思われる人が、「今から三俣山荘ですか、がんばってくださいね・・・」と激励してくれた。
 一息入れてから三俣山荘目指して五郎小屋を出発した。ここは急登だった!みるみるうちに汗だくになった。足は重くリユックも重く・・・顔は下を向いて力なく・・・、それでも歩いていると三俣蓮華岳と三俣山荘の分岐に着いた。小屋に早く行くなら三俣山荘コースだが、雪渓を渡らなければならない。看板には「雪渓には充分な注意を!」と出ている。一方三俣蓮華岳コースは急登でかなり厳しい状況だ。
  CLからどっちの道を選ぶか・・・の提案だったが、全員一致で三俣蓮華岳コースを選んだ。想定通り分岐から大変な急登だ!「長野・富山・岐阜三県の境」の標識を経由して16時28分三俣蓮華岳頂上に着いた。出発後12時間かかった。全員登頂記念の写真を撮った。
 これだけ苦しかったのに写真は全員晴々としたいい顔だ!達成感が溢れている!少しガスが出てきて前方に見える鷲羽岳は不気味な感じに見える。三俣蓮華から約1時間やっと鷲羽岳の麓に三俣山荘が見えた。赤い屋根が一段ときれいに見える。17時30分小屋に到着した。ヤレヤレだ、明日は4時半出発だ。




北アルプス黒部五郎・鷲羽岳・黒岳を踏破して
西上 正//
 北ア最奥の黒部五郎岳・三俣蓮華岳・黒岳まだ百名山が騒がれていない頃から、登山者 のあこがれの山であり、当時から一度登って見たい山々であった。今回山口さんの企画に 一緒させてもらった。  
  唯、出発2.3日前より体調を崩していた中での参加で不安もあった。太郎平小屋に着いた頃より疲労が急に襲って来た。食が進んでいなかったことが最大の原因と分かっていたが受け付けずどうしょうもなかった。二日目より快晴で絶好の登山日和に恵まれた。すば らしい展望がきく尾根道をいくつかのピークを登り下りしながら黒部五郎岳〜三俣蓮華岳 を目指して歩いた。次第にリュックの荷が肩に食い込んでくる。 大した登坂でないのに 体が重い。三俣蓮華をパスしょうとの話も出ていたが、清々30分位の迂回と言うことで登 ることになった。登りたいし、しんどいしの葛藤の中付いて行くことにした。頂上を目前 にして秋月さんがリュックを交換しょうと言ってくれる。弱った歩き方をしていたのでしょう 。今までに経験しない自分に対する屈辱の状況でありましたが、これ以上無理すると一屑に迷惑を掛けることもあり、気持ちよく助けを受けました。その結果三俣小屋までの下山が楽に行動が出未ました。が小屋について荷物を軽く出来ないかと整理中に、首から両腕に熱が出て来て疲労感を急に感じるようになって、小屋の前でビールを飲むからと誘いがありましたが残念ながらしんどくて行けませんでした。今回も日焼け対策を一切してい なかったことで、熱中症状が出て来たようです。疲れが溜まり夕食も取れない状態になり ました。見兼ねた山口さんが診療所で診察を手配してくれました。岡山大と香川大の山好きの医学生が交替でボランティアで診察をしているとのことでした。 今回は岡山大学が 担当で、可愛女医さんの玉子にお世話になり、点滴を打って貰いました。また、オーナー の奥さんが滞在しでいて、厨房に蜂蜜レモンと梅干し入り白粥を作るよう手配して下さり 御馳走になった。夜もよく寝られました。大分元気が出て来ました。こうして皆さん方よりいろいろと手助けを頂いた結果、登りはまだシンドサが残っていましたが、下りは何とか平常近くまで回復して来ました。  
  百名山を目指していた訳ではありませんでしたが。いつの間にか踏破が80座を越えて来ました。9月に入り登山計画も目白押しです。今回の失敗を十分に検証して踏肢出来るよう努めたいと思っております。  最後になりましたが、今回のリーダー山口さんを始め同行皆さん方に感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございました。