東尾根大槍ヒュッテからみる槍ヶ岳/ |
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山行報告 | 中島 貞夫 | |
北鎌尾根山行は昨年槍沢の大曲りまで行ったが雨に降られて中止したので、今回はぜひ登りたいと思って天気の安定しそうな日を選んだ。さらにもう一点、北鎌尾根の登山時間を短くするために出発時間を早くして横尾とコルでツエルトを張った。 ☆ 8月17日(月)晴れ 京田辺市8:00−沢渡14:00−上高地14:30−横尾17:00 泊 お盆明けで高速道路の混雑もなく順調に沢渡まで行けて、観光客で賑わう上高地には2時30分に到着した。少しでも先に進んでおきたいので横尾まで歩いた。 ☆ 8月18日(火)晴れ 横尾4:00発―槍沢ロッジ5:30−大曲り6:50−水俣乗越8:20− 北鎌沢出会10:20 −右俣分岐10:40〜11:20−北鎌コル15:20 泊 昨夜はきれいな星空が見られたので今日も良い天気が期待できそうだ。昨日は横尾まで進め たので今日は北鎌のコルで泊まる予定で出発する。暗い路だがまだ水平道なので順調に歩け、槍見河原あたりで明るくなる。槍沢ロッジではこれから槍ヶ岳に登る登山者が多く準備している。 我々はここで朝食にしてこれからの登りに備えた。おおぜいが休憩しているババ平を通過して大曲りから右へ水俣乗越しをめざしてじぐざぐの急登にはいる。水俣乗越からは明日登る槍ヶ岳それに連なる北鎌の尾根がはっきりと見えた。遠くのピークも360度確認できた。 天井沢への下りはきつい。いつ足をすべらすかこわごわでやっと下りたら硬い雪渓があり慎重に横断する。しばらく槍ヶ岳や北尾根、独標と沢を確認しながら天井沢を下る。北鎌沢は水が多く流れておりそれと分かった。左俣との分岐で休憩して見上げると直上した右俣沢がコルの方まで続いているのが分かる。雨がつづいていたので大分上のほうまで水が流れていて登るのに時間を要した。途中下りてくる人があり、コルに行けなかったので引き返してきたと言って下りていったが、我々も上で迷い無理をして尾根伝いにコルまで出た。ここでツエルトを張った。 夜雨が降ったがすぐに止んで星空になった。 ☆ 8月19日(水) 晴れ コル発5:35−独標8:15−北鎌平11:40−槍ヶ岳13:55− ―大槍ヒュッテ14:40 泊 コルから踏み跡をたどってスタートする。いくつかのピークを越え天狗の腰掛もなんだかんだと言っているうちに通過して、独標取り付きにつきDVDで見た岩の出っ張りのあるトラバースルートに入って、ロープを張るか確認したがほんの少しの間だけなのでそのまま慎重に通過する。 その後の岩場のほうが危険そうだった。途中から尾根めざしてガレ場を登って独標のピークに上がる。槍ヶ岳が正面に見えて絶好の展望台である。北に白馬、鹿島槍、立山などまわりは北アルプスの山に囲まれている感じであった。独標を下りてトラバースするか、尾根筋を登るか迷う箇所がありガスっていたら危険な場所に踏み込んだかもしれない。後から若い2人のパーティが残置ロープで懸垂下降をしているのを見たが、我々とは違うルートを登っているのだなと思った。 北鎌平に出るのに少し迷ったが、ここから大槍までは岩登りでチムニーを2箇所登るともう頂上で多くの登山者がいる山頂に着いた。10時ごろから雲が上がって来ていたので遠方は見えなかったが、苦労して登ってきた感激を味わいながら周りの景色をながめた。賑わっている肩の小屋をさけて大槍ヒュッテまで下って祝杯をあげた。ここからは槍ヶ岳の全容と北鎌尾根が見られ今日の登りを振り返るのにはもってこいの場所だ。小屋も混雑はなく夕食は白ワインが出るなど違った雰囲気の小屋だと思った。 ☆ 8月20日(木) 晴れ時々曇り ヒュッテ発6:10−横尾10:00−上高地13:00−京田辺 日の出は雲にさえぎられて見えなかったが、今日は下るだけなのでゆっくりと朝食をすまして槍沢を下山して今回の山行を終わった。 天気が続いたので北鎌尾根のルートを大きくはづれることもなかったが、踏み跡を探すのに3人がばらけることもあり、不安な気持ちを持った人があったのは意思疎通がうまくいってなかった為で、リーダーとして申し訳なかったと反省しています。 |
東尾根 水俣乗越から/ |
北鎌独標から槍ヶ岳大槍/ |
「写真提供は中島さん」 |
念願の北鎌尾根完登 | 植西 晃干 |
上高地から横尾、槍沢そして大曲の見える付近まで延々6時間余り歩いて悪天候のため中止で引き返した昨年の無念を晴らす日が漸くやって来た。それがため今回は決行日を慎重に対処し、
最終鈴木天気予報士?の判断で8月17日〜20日と決まる。
8時京田辺を車で出発。沢度でタクシーに乗換え上高地へ向う。横尾で第1日目のツエルトを 張る。翌18日早朝槍沢ババ平を経て水又乗越へ。1時間の登りの後いよいよ天上沢へと降りる。 貧乏沢に負けず劣らずひどいガレ場だ。私は今まで記憶にない3回も転び行く先の北鎌が少し心 配になった。兎角慎重に行こうと一人心に決める。 漸く天上沢に降りるも、北鎌のコルヘの登りロがなかなか見つからず思っていたより下流で見つかった。いよいよこれからが本番。今日のテント場まで2時間半、今日、明日の2日間の水をザックに詰め登り始める。コルヘの登りでルートを間違え1時間余り余計に費やす。コルでの2 日目のツエルトを張る頃は快晴に恵まれ水を倹約し乍らも楽しい夕食で鈴木さんが隠し持っていた缶ビール、3人で3分の1づつ飲んだ味は本当においしかった。7時ごろ就寝。 3日目、5時35分発。いよいよ核心部の登攀に入る。最初から急な登りだ。高低差1000m弱厳しい岩場を越さねばならない。この時点でお互いのザックは12〜14kgだろうか、いずれにしてもこれを背負って岩場を行かねばならない。このルートの一番の難題はルートファインディン グに有ると思います。我々の取ったルートは概ねピーク越えでしたので体力と時間をかなり消費 した様に思います。独標を降りる頃から体力もかなり落ち、30分間ももたず休憩を余儀なく行う。 11時20分頃北鎌平に着く。北鎌平と云ってもそう広くはなく巾2〜3m、長さ10mそこそこ の砂場だ。ここで大休止。もっと休もうとの意見もあったがガスが少し出始めた。頂上まであと 1時間余りはかかるかと思い11時40分に出発。頂上直下のチムニーの岩場、このコース最大の難所。これを乗越えたらもう頂上は目前だ。黙々と足場を気にし乍ら登っていたら突然上から拍 手が沸き起こった。見上げると槍の穂先に大勢の登山者が我々を迎えている。疲れも忘れ感動が胸をしめつける。 頂上に出た時20人余りの一般登山者に迎えられた。疲れも忘れ本当にうれしかった。流石、国内有数のバリエーションルート加藤文太郎や松舞明は別にして、一般登山者は単独では無理なコ ースと思います。私の評価、体力星4つ、技術星4つ。 |