海抜0m田子の裏海岸/

山行日
2009年7月11〜13日
天候
晴れのち曇り
参加者
リーダー:中島   サブリーダー:吉川    会計:岸田・吉野
男性:植西・橋本・中村・北村 
女性:染矢・吉野・上杉・岸田・吉津
合計:11名


    山行報告  中島 貞夫
 創立30周年記念登山の一つに選ばれた「0mから登る富士山」を企画するのに、古きは平安時代から登られ江戸時代には盛んに使われたという村山道が最近整備されつつあることをホームページで知り企画した。例年7月10日前後は梅雨も明けていないのだが夏休み前の混雑を避けるためにこの時期をあえて設定したが幸いなことに雨には遭わず歩けた。3日目の富士山登頂の時に強風にあい高山の厳しさに遭遇したが無事下山することができ山行を終了できた。

 1日目(7月11日)(土) 曇り時々晴れ  25℃ 京都駅6:42−新富士駅9:01−田子の浦9:32−10:05新富士駅10:15−11:40広見公園12:10−千貫松13:15−次郎長町分岐14:00−子之神社15:10−村山ジャンボ15:55着 宿泊
 田子の浦海岸から薄曇りの北の空に八合目から上の富士山が見られた。はるか遠くこれからあの頂に向かって3日間歩くのだ。駿河湾の波は高くはないがテトラポットに当たって砕けた波しぶきは高く飛び散る。我々一行は海水に手をつけて0mのスタートを切る。新富士駅に戻ってリュックを背負い車の多い幹線道路を北に歩く。東名高速の1km程手前から左の村山古道に入り広見公園の広くて涼しい木陰で昼食にする。所々にある古びた案内標識を確認しながらゆるい登り道を進む。 第二東名高速工事現場で道が途切れているが、先が見えているのでそのまま畑を横切る。

 このルート最後のコンビニでのどの渇きを潤して畑が広がる田舎道を歩く。次郎長町への分岐を過ぎてから曲がるべきところを行き過ぎて30分ほどロスをした。足の豆が急に痛くなってきた。村山まで1時間ほどに近くなってきたので小さな神社の前で休憩して今日のゴール地点をめざした。 小さな部落を北上した突き当りが村山浅間神社でその右に今日の宿のジャンボ村山があった。

 先に明日の登山ルートを確認しておいて、念のために山本商店で確認をするが細かいところは聞けなかった。宿には子供や大人が大勢バーベキューでにぎわっていた。我々も風呂に入ってバーベキューの仲間に入る。大きな部屋でゆったりとでき早朝出発のため早く寝ることにした。 

 2日目(7月12日)(日) くもり 村山ジャンボ4:10−6:05林道6:30−7:20天照教富士山本社7:35−富士山麓山の村8.03−中宮八幡堂跡9:10−下のスカイライン9:30−上のスカイライン10:43−11:15昼食11:45−13:30宝永遊歩道13:45−新六合目小屋14.10    宿泊   
 今日は樹林帯に入るので明るくなってからでないとルートが読めないので4時に出発、暗い空に富士山がシルエットで見え八合目あたりの明かりが村山浅間神社の左を北上するがすぐにルートが分からなくなる。地図を見て其れらしい所を進む。しばらく歩いて左に村山道の標識を見つける。そこからは新しい作業道をさけて古い沢筋を進むと迷わずに天照教に出た。

 ここからは自然林が多くなり路も山路らしく歩きやすい、山の村で始めて犬を連れた人と出会った。スカイラインと交差するあたりからだんだんと登り勾配がきつくなってくる。 ダケカンバ・カラマツの倒木が続く路をまたいで、くぐって。倒木のおかげで視界が開け、下は駿河湾、上には新六合目の小屋が見えた。もう少しで着く、皆元気だ。周りが這松になったらすぐに歓迎の看板に迎えられて小屋に到着。今夜の泊り客は我々11人だけでサービスも良くゆったりとくつろぐ。夕方から風が強くなる。ご来光を見たい人があり3時までにはスタートする予定で準備して寝る。

  3日目(7月13日)(月)曇り 7℃ 小屋3:00−元祖七合目4:50−5:40八合目5:56−九合目6:25−7:42富士山頂小屋8:10− 元祖七合目9:40−10:36新六合目10:56−五合目バス11:30−新富士駅13:48
 夕べから強風が続いている中を、ヘッドランプをたよりに出発。荷は必要なものだけを持っていくので楽である。七合目ではご来光は見られなかったが影富士をみた。吉川さんが高山病の兆候が出始めてUターンしてもらう。横からの風で目や口に砂が入る、八合目からは風もさらに強くなったようでときおり体を持っていかれそうになる。九合目になると霧の水分が多くなったのか雨に近い状態で吹き付けてきた。山頂の浅間神社奥宮に手を合わせ、山頂小屋で一息入れて早々に下山する。下山途中次々と登ってくる登山客とすれ違ったが、意外に早く小屋に到着したので11時30分のバスに乗ることにして五合目まで下った。明くる日に大きな落石で1人が亡くなったのを聞いて事故もなく帰れて幸いだったと皆に感謝した。





雲上の富士山を目指して

村山古道を行く

村山ジャンボでの夕食はバーべキュー

村山浅間神社にお参り


倒木の続く道をまたいだり、くぐったりして行く

雲海荘で記念撮影

夕食のカレーとサービスのそば

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浅間大社奥宮の鳥居前で

頂上小屋でホットコーヒーで乾杯

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「写真提供は北村さん」 

                                富士山感想集     
第1日目                                                         
吉津 雅子/ 
  お天気に恵まれ新富士駅に降り田子の浦より遠くにそびえる富士山を見てあの上までこれから歩いていくのかと何ともいえない気持ちでコンクリートの道をいつも富士山を見ながら歩き出し広見公園の木陰でみんなで楽しい昼食を済ませ、歩け歩けで22キロリーダを先頭に右に左に曲がりあんな道こんな道とおしゃべりしたり周囲を見渡し正面には富士山がでーんとそびえ少し近づいたかなとおもったりしながら一生懸命にみんなについてあるきました。
 
 今日の最終村山浅間神社に着いたとき、思わずバンザーイと声が出ました。頂上までの登上安全をお願いし宿に入る。ゆっくりとお風呂につかり今日1日の疲れを取り、夕食はみんなでバーベキューわいわいがやがや楽しくおいしかったです。その後大谷さんからの差し入れのグレ-プフルーツいただきましたとってもおいしかったです有難うございました。後2日がんばります。

第2日目 
吉川 靖人/
  一日目は靴の選択を間違い、すぐまめができてしまった。テーピングするがまだ痛い。今日は2000mの標高差を登る。夜明け前に浅間神社にお参りをして、村山古道を辿る。暗闇の中うっすらと富士山がみえた。昨日よりは近くに見えるけどまだ遠い。少し迷ったが天照教に着く。まだ1000mたらずだ。まだ1500mも登らなければ!このあたりまでは、ジメッとした暗い道が続いていたが、上に行くに従って明るい笹道になっていく。左足もまめが大きくなったのでテーピングしてもらう。もう気合?で行くしかないか。
 
 林道やドライブウエイを横切りながら、今日のメインの急登が待っていた。上遥かに六合目の小屋が見えたが、そこからが長かった。おまけに倒木が行く手を遮り体力を消耗した。私は地面ばかり見ていたので、何回も頭に樹が当たり、痛い目に遭ってしまった。(額に小さいこぶができた)ドライブウエイの車の音が聞こえる。やっと宝永山の分岐に来た。後もう少し!先を歩いていた中島さんが小屋前から手を振っていた。
 
 小屋に着いた時は、もう今日は歩かなくていいのだという安心感と、ここまで来たぞという達成感があった。予定より早めに着いたので、各自ゆっくり休憩し明日への英気を養った。天気はいいものの風がかなりきつい。明日は大丈夫であろうか?伊豆半島や富士の裾野が見える。富士山ならではの景色だ。夕食はカレーとそば そばはサービスとの事。小屋の皆さんはご主人筆頭に気さくな方ばかりで、なごやかに過ごさせていただいた。明日の安全登山を祈って床についた。

第3日目

北村 正博/
  いよいよ登頂の日がやってきた。2:00起床。相変わらず風の音が大きい。不要な荷物を置き、3:00 雲海荘のご夫婦に見送られ出発。気温13℃、月が雲の合い間から輝き、八合目まですきっと見える。期待出来そうと心が躍る。3:30 早くも東の空が少し白み始める。この頃からYさんの調子がおかしい。どうも高山病らしい。吐き気と足が上がらないようだ。4:00 何とか新七合目(2780m)に到着するものの、ここで無念のリタイア。
 
 辺りはうっすら明るくなりヘッドランプを消す。朝焼けは輝き出し、日の出の時刻を迎えたらしい。残念ながらご来光を見ることは出来なかったが、下界に広がる雲海が素晴らしい。4:45 元祖七合目(3010m)。影富士が朝焼けた雲海の上空に幻想的に浮かび上がる。この辺りに来ると、風の勢いが益々強くなってきた。八合目方向を見るとガスで覆われてきている。突風で体が飛ばされそうになる。身をかがめ、岩やロープで体を支える。風速20〜30m位あるだろう。目には砂塵が入り、顔をタオルで覆うも口の中がジャリジャリする。ガスで視界が悪くなるかと思えば、さっと晴れる。砂礫や転石の登山道も大きな溶岩道に変わり、5:35 八合目(3250m)到着。
 
 雪渓が谷筋に残り、宝永山と、ぽっかり口を開けた宝永火口が眼下に見える。一つ目の鳥居が現れる。3000mを越え、私にとっては未知の世界。強風とガスと戦う中、いささか息苦しさを感じる。ガスに覆われる状態が多くなってきた。6:20 九合目(3460m)。体が濡れ寒さを感じる。二つ目の鳥居を通過し、雪渓を横に見ながら岩場を登る。7:00 九合五勺(3590m)。もうガスが切れることが無くなり視界はかなり悪い。“落石注意”の看板が何ヶ所にも立てられ、大きな溶岩がゴロゴロしている。三つ目の鳥居をくぐる。そして遂に7:40 感激の登頂!浅間大社奥宮の鳥居前でとりあえず記念撮影。気温5℃。頂上富士館に避難し、ホットコーヒーで乾杯!この後、剣ヶ峰に登り、お鉢巡りをし、宝永山コースを下る予定であったが、この状況では到底無理と断念。3776mの最高峰への心残りはあったが、また来る楽しみが出来たと諦める。それどころか、このような悪条件の中、よくここまで来れたと喜ぶべきであった。
 
 早速、同じルートを下りるが、相変わらず凄まじい風が吹き荒れている。体が飛ばされない様、慎重に足を運ぶ。途中、訓練中の自衛隊員の一団とすれ違う。新七合目まで下りてくると、風もガスも収まり、宝永山が姿を現す。まるで別世界だ!10:30 雲海荘に無事到着。慌ただしく身支度を済ませ、11:30新五合目発のバスで新富士駅へ。遅い目の昼食を摂り、中島さんの一本締めで、14:00 解散。長い三日間が終わった。
 
 帰ってきたあくる日、ニュースを見てビックリ!新五合目の駐車場での落石死亡事故。いくら万全を期しても予期できないのが自然の怖さ。ほんとに全員無事に『0メートルから登る 富士山』を終えることが出来たこと、“村山古道”を歩くことによって、いにしえの人々の富士登山の想いに少しでも触れられたことに新たな感動を覚える。この企画に参加された皆様、特にこの企画を立案戴いた中島さんに感謝申し上げたいと思います。