悪沢岳頂上


山行日
2008年8月6日(水)〜10日(日)
天候
晴れ
コース
6日:椹島ロッジ5:50⇒13:50千枚小屋⇒7日:千枚小屋6:00⇒7:00千枚岳⇒8:20丸山⇒9:10東岳⇒12:20前岳⇒13:55荒川小屋⇒8日:荒川小屋6:00⇒8:15小赤石岳⇒9:25赤石岳⇒13:30赤石小屋⇒9日:赤石小屋5:50⇒9:45椹島ロッジ⇒11:00赤石温泉⇒19:00新田辺
参加者

リーダー:山口  サブリーダー:秋月
男性:北川・寺澤・樋口・三宅・守口
女性:新居・河合・岸田・長野・吉津
合計:12名    

 

    山行報告  山口 博

 荒川三山は今回で3度目の挑戦です。 2003年の夏山例会は暴風の為千枚小屋で撤退しました。2回目の昨年は出発当日朝に東海フォレストから電話が有り、畑薙第1ダムからの道路が崖崩れで静岡市からの行政指導でバスが運行できないとの連絡有り急遽中止に成った。  

8/6 新田辺6:20−相良牧の原IC10:15−畑薙第1ダム13:30− 14:10 (専用バス)椹島15:10
  3度目の今回は週間天気予報も晴マークでこれまでのロ惜しかったお返しをしで呉れそうだ。 第2京阪・名神.新名神・東名を一路畑薙第1ダムに向って走る。新名神・伊勢湾岸道路は共に空いていた。伊勢湾を横切るこの道路は湾岸の違った風景が見られて楽しいドライブでした。

  相良枚之原ICからR473 ・ .R362を通り大井川に沿って走る。昔は難所であっだ越すに越されぬ大井川”も今は橋を渡り大井川に沿って遡る。大井川鉄道の電車が走っているが以前寸又峡に来た時乗ったSLではなかった。狭い道路を3時間も走り,目的地の畑薙第1ダムには予定の時間に到着しました。

 受付の静岡遭難対策協議会の方に登山届けを提出して、東海フォレストの 2台目の満席のバスに乗り椹島ロッジには3時過ぎに到着しました。 3日間は山小屋泊まりで今日は最後の入浴を済ませて、明日からの山行の無事を祈ってのビールで乾杯しました。

8/7 椹島ロッジ5:50−清水平10:00−蕨段10:50− 11:20−駒鳥池13:00− 千枚小屋13:50
  今日の行程は標高差1,800mの登りで歩行時間7時間で今回の一番長い登りですが、小屋3泊で登山を計画したので千枚小屋までで時間の余裕があり、ゆっくりと登りました。 登山道は樹林帯の中で日陰ですが歩きはじめると直ぐ汗ばんで来て衣服の調整をする。

 南アルプスはアプローチが長くてどの山も簡単には登れない。蕨段を過ぎるとやがて樹間から目指す荒川三山・赤石岳が姿を現した。駒鳥池に立ち寄り予定の時間の2時前に千枚小屋に到着 しました。私たちの小屋は別館の新しいログハウスで中もゆったりしていて快適でした。

8/8 ご来光を千枚岳で見たいと寺沢さん岸田さんは4時前に出発し私達は5時に朝食を済ませて小屋の前でご来光を待った。富士山の勇姿と雲間から真っ赤な太陽が登って来た感動の一瞬です。快晴のお天気に感謝、有り難う。

 6時に出発して千枚岳には7時に到着し、先発の寺沢さん岸田さんと合流しました。 今日は富士山を見ながらの稜線歩きで、丸山には登り1時間で到着しました。ここから50分で念願の東岳(悪沢岳)3,141mの頂上に立ちました。悪沢岳は男性的な大きな岩山で南アルプス南部の最高峰で流石に貫録がある。南東に中岳・前岳の稜線、その奥には今日の宿舎の荒川小屋、南方に小赤石岳・赤石岳がその奥には聖岳・兎岳が見える。

 東岳からの下りは今回で一番の難所で急な砂礫の下山道を慎重に下るが、岩場に来るとむしろホ ットする。鞍部まで下ると後は緩やかな登りになり11時に中岳避難小屋に到着しました。ここで 1時間の昼食タイムを取りました。今日は5時間の行程で展望と登山道に咲いている花を楽しみながらの山行です。前岳分岐にザックを置いて前岳に登りました。

 頂上からは北方に南アルプス北部の連峰の塩見岳・間ノ岳・農鳥岳などが見える。3年前に塩見岳に登った折りこの荒川三山を眺めたが今日は此処から眺める塩見岳を見て、12時間掛けて縦走した事が思い出されます。もう少しゆっくりしたいがアミューズの団体が登ってくるので下山する。

 分岐からの下りの南東斜面は一面にお花畑が広がる。白のハクサンイチゲ・黄色いシナノキンバイ・ミヤマキンポウゲ橙色に黒点のクルマユリ・ピンクのハクサンフウロ・紫のタカネグンナイフウロ・チシマギキョウ・タカネマツムシソウ・ホソバトリカブトなどまるで華やかさを競っているように咲き誇っています。

 荒川小屋には2時前に着きました。 夕食まで随分時間が有るので小屋横のテーブルで歓談。アミューズの添乗員のミンミン君(昨年私たちが中国旅行で行った折り四姑娘山の麓の村の日隆で夕食に立ち寄った村長の家のレストラ ンの息子で去年から岐阜の大學に留学していてアルバイトをしている)とも小屋で色々話をしたが不思議な縁だ。寺沢さんが名刺を渡して山友会のホームページを見て欲しいと話していた。今日の小屋も空いていてゆっくりする事が出来ました。

8/9 小屋を6時に出発いきなり急な登りですがここを過ぎるとやがて大聖寺平に到着しました。ここからは小赤石岳の登りでジグザグに登って行く、今日の行程で一番の登ですが稜線に出とゆ るやかになりやがて小赤石岳に到着しました。

 小赤石岳で30分の休憩をして分岐にザックを置いて登り赤石岳には9:25に到着しました。 山頂から南に聖岳・兎岳・小兎岳、北に昨日歩いて来た荒川三山その奥には千丈ケ岳・間ノ岳・農鳥岳が見え素晴らしい展望です。 40分展望を楽しんで下りました。

 分岐から少し下ったお花畑の脇で昼食にしました。黒い雨雲が出てきて今にも降り出しそうで慌てて雨具を着けるが、幸い降らず直ぐに雨具を脱いだが、今度はゴロゴロと雷が鳴り出す。 早く小屋に着きたいので富士見平での休憩も止めて小屋には1時半に到着しました。 夕食の準備の4時まで食堂に集まりここで懇談です。ミンミン君も隣でススタッフと飲んでいるので話しが弾む、国際交流です。 

 3日間共天気に恵まれて無事に縦走出来て今日は最後でみんな安心して飲んでいる様です。赤石小屋は土曜日で満員で玄関の横にも寝転んでいて食事は5交替制です。山小屋ではトイレにに何時も難儀しますが今回の山小屋のトイレは綺麗で助かりました。全てヘリコプターで運んで処理をしている様です。寝具も寝袋で布団より良かったです。

8/10 5:50に出発して椹島ロッジには9:45に到着しました。バスの受付を済ませて生ビールで喉を潤す。無事に下山した安堵感で張,り詰めていた気持が一挙に解放されました。 東海フォレストのバスで10:50に畑薙第1ダムPに到着し、へいあんバスで赤石温泉白樺荘に 11:00に着きました。入浴して3日間の汗を流してやっとすっきりしました。ビールで乾杯して食事をして、新田辺には予定より早く7時前に帰って来ました。 SLの秋月さん会計をして頂いた長野さん岸田さん、ご協力頂きました皆さんのお陰で念願の荒川三山・赤石岳縦走が無事に終りました。同行の皆さん有難う御座いました。

ひやりハット ありません





滝見橋にてコース説明

  8日4時47分ご来光(千枚小屋)

 千枚小屋出発

 もうすぐ千枚岳

あれが中岳.

 高山植物が見事!

もうすぐ赤石岳

6ツ目の3000m級だ.
「写真提供は秋月さん」

 
       荒川三山・赤石岳     北川 欽造

 この山域は、山ロさん達の三度目の挑戦だと言う。南アルプス最深部のこの人気コースを、いつかは巡って見たいと思っていたが、今回諸般の事情も許されお誘いに応じ参加させていただい た。人気コースとは言え、広大な山城だからそれなりの覚悟で挑もう。山中4日間の初日は、千枚小屋まで7時間程の長丁場の登高だ。以前、使ガ島から光岳への12時間登高も経験しだのだから、何とか今回も達成できるのだ、と自分に言い聞かせた。  

 登山口、椹島ロッジで5:40教育部秋月さんの良き指導のもと、準備体操に気合が入る。ウグイスの声を聞きながら沢音が小さくなり、展望のない長い苦しい樹林帯を登るが、この森の風景が大変良い。幸い先頭を歩かせてもらい気分が楽だった。

 最後の水場で咽を潤し、ボトルを充たす。厳しい樹間の径は傾斜がゆるくなり、笹が生い茂る。 見晴台で快晴のもと、明日以後辿る荒川三山や赤石岳が垣間望まれる。セミの声を聞きながら駒鳥の池に達した。あと1時間位で千枚小屋だろう。遠雷を聞き夏山を感じる。可憐な花が気分を癒してくれる。

 千枚小屋の600円ビールが身体の芯まで潤してくれた。宿舎は離れの別館で更に足場の悪い小径を100m程登った台地の上にあった。東方に雲をまとった富士山が見とめられた。枕が変わり疲れ切ってしまうと、普段なかなか眠れないが、ぐっすりと寝てしまった。しかし3:00頃目覚めて星空を見に出た。雲のない美しい星空に天の川が南に延びる。天の川なんて何年ぶりだろう。

 3日目いよいよ展望の山旅が始まった。ガレの稜線から富士山やうしろに赤石が美しい。 トリカブト、センジョウアザミ、イブキトラノオ、クルマユリ、ミネウスユキソウ、ハクサンフウロ、 ミヤマビランジ……名前は分からないが夏のどんな花でもあるように思った。南アルプス南部最高峰の悪沢岳。名前の通り悪(わる)で苦しい山だ。しかし360度好展望そして花三昧で楽しい。

  悪沢、中岳、前岳……と3000m超の山々を巡り、カールを見下し、花々を愛でつつ南に荒川小 屋が見とめられた。瓦礫のジグザグ径で悪条件なのに、花がこんなに美しく、沢山咲き誇るのが不思議だ。水分も少なく風の吹き荒れる悪条件だから、短い夏を謳歌しているのか。荒川小屋の食堂からおいしいカレーライスの匂いが流れてくる。中盛りのカレーだが2ハイもペロリ。Aさんは3パイもペロリだったとか。

 4日目山稜の好展望が今日もつづく。今日も快晴だ。微風の大聖寺平で休憩は嬉しい。再び砂 礫の急斜面に喘ぐ。富士山が凛と聳えてエールが送られてくる。小赤石岳を過ぎ、分岐で荷をデポし赤石岳へ向かう。今回最後の3000m峰で2つ目の百名山。ふり返ると辿って来た3000m峰 が北方に一列に並んでいる。そして東に富士山。360度の大展望を心ゆくまで楽しんで写真を撮 った。下り坂、赤石の東斜面は北沢が俯瞰され雪渓が並ぶ。そして渓が深く落ちる。
“雪渓が続きて渓はなお深し”   “岩壁の斜面よりしみ出る清水かな”

  雷が近づいて来た。まだ気にもしない位の雨がポトポトして来た。
“雨こぼれ又止みカッパと思案顔” 低木混じりの露岩帯からだんだん森林帯に入り、ダケカンバの巨木がうねって来た。 “ねじれ古木風雪猛りし登山径” “ダケカンバをくぐって雷鳴轟ぬ”

 富士見平の頂上に達すると、雷はいよいよ大きく響いて来た。皆はなぜ平然と歩いているのだ、 全く不思議だ。 “頂稜の雷鳴怖いは我のみか” 程なく樹林帯に入り安堵した。 “ダケカンバ渓に向かってイナバウワー” 赤石小屋で夕刻天気は回復し、西に赤石岳と小赤石岳が輝いた。小屋の正面には聖と上河内岳もシルエットで浮かぶ。明日も良い天気のようだ。

 今朝も未明3:00ごろ目覚めた。満天の星空は今日の方がもっとすごい。くっきりと天の川が流 れ、新月らしい今日は無数の明るい星で思わず声を出した。岸田さんも起き出して来た。数年前、 内モンゴルで360度目線より低く感じた全天のすっごい星空を思い出して語り合った。全く風のないて天望に流れ星を数個みとめた。

 今日は最終日。ひたすら下山に入る。樹林帯の中で急坂の浮き石に注意する。長い東尾根(大倉尾根)だった。見通しのない長い坂道を下る。原生林が延々とつづき豊かな森の中を鳥の声を 聞きながらの森林浴だ。皆さんと行動を共にし、互いに助け合った5日間だった。充実した夏の山旅の喜びを共有出来て本当に皆様ありがとうございました。大シラビソの大樹にサルオガセがまとわりブナも混じる。そして桧や椹の林が終点まで続いた。 “下降点の沢音近づく原生林”


                      会員ひろばに寺澤さん編集の写真集があります