06年
夏山
 
 


 /剱岳(2999m)/

 山行日    2006年8月4日(金)〜6日(日)
天候
  3日間 晴
 コース
室堂発13:30⇒15:45剱御前小屋:5日5:00⇒5:35剣沢小屋5:40⇒7:55前剱8:05⇒10:10剱岳11:00⇒13:00雪渓(昼食)13:50⇒14:35早月小屋:6日5:55⇒9:15馬場島9:30⇒11:15グリーンピア立山14:20⇒19:40京田辺 
 参加者
リーダー:徳田  サブリーダー:堀尾 
男性:佐々木、岡部、秋月
女性:長野、内匠、徳田、大谷、河合
合計:10名    

  
    山行報告  徳田康二
 4日(金)6時30分松井ヶ丘を出発。途中事故で渋滞にあったが、たいしたことはなく順調にバスは進み、西上氏の名予想通りドンピシヤリ13時に着く。剣班は、名水の前に集結、地獄谷に下り 称名川を渡り雷鳥沢を直登する。雪渓の手前で休憩して雪の状態を見る。アイゼンを着けなくても よさそうなのでそのまま登る。15時45分別山乗越に着く。夕食は6時30分なので御前峰や別山に向けて登る者、明日登る暮れ行く剣岳を見入る。明日はハードなコースなので早々に就寝。

  5日(士)4時に起床、ご来光を見に剣御前峰に登る。東の空が明るくなると共に薬師岳がピンク 色に染まってくる。やがて鹿島槍と五竜の間から真紅な太陽が頭を出す、久しぶりこ見る綺麗なご来光だ。5時出発、黒ユリのコルに下る予定だったが、雪渓が多く通行止めのため、剣沢小屋に下る。崩壊した剣山荘の横を通り、一服剣から前剣に向かう。この辺りからクサリ場の連続だ。前剣から力二の立て這い辺りはかなり混雑しているようだ。頂上にもかなりの人影が見える。―歩一歩 確実にクサリを持って登る。10時10分剣岳山頂に立つ。時間がたっぷりあるので360度の展望を心行くまで楽しむ。11時出発、早月尾根に入ったとたんいきなり急降下だ、垂直に近い岩場の下りは手こずる。13時雪渓で遅い昼食をする。のんびりと昼食をした後、14時35分早月小屋に着く。 

  6日(日)小屋での朝食をとり5時55分出発。標高差1500mを一気に下るが、ここからは岩場の下りがないので決調に下る。予定より早く9時15分馬場島に着く。バスでグリンビュー立山で入 浴、大日班と合流。立山三山大日岳縦走組の西上氏の体調が悪いので、一人室堂から下ってきて合流。14時20分出発、京田辺に19時40分無事帰着。


   感想                 剣岳早月尾根を行く                 徳田康二
 過去二度剣岳に登り、一度は早月尾根も縦走したことがある。もう登ることはないだろうと思っていた。その時「かんなび」に今年の夏山のコースが出ていた。最初は大日にでも行こうかと思っていたが日が経つにつれ剣の魅力が湧いてくる。私が山人生最後のチャンスと思い説明会の時、何のためらいも無く剣班に加わった。男性5名、女性6名(後で1名キャンセル)その中で過去に早月尾根を経験しているのでリーダーをやってくれと言われ引き受けた。 

  室堂に13:00着、剣班は名水の前に集合。皆より一足早く地獄谷に下り称名川を渡った所で、 尾根を行くか雪渓を登る原発コースを行くか問う。皆、雪渓を登ると言ったので直登コースを行 く。雪渓は思ったより柔らかくアイゼンを付けずに登る。予定(2:40)より早く(2:15)、15:45別山乗越に着く。夕食は二度目18:30から、時間があるのでまずビールと枝豆で乾杯。剣御前峰に登る者、別山方面に登る者、ビールを飲んだ後なので足が重い。別山まで到底行けそうにない。途中の小さなピークがあるここまで。夕食後富山湾に沈む夕日がきれいだ。暮れ行く真っ黒な剣、 恐竜の背中を思わせる早月尾根、明日これを行くんだと思うと戦慄が走る。明日のハードコース を考え、早々に床につく。

  5:00出発、それまで御前峰に御来光を見に登る。鹿島槍と五竜の間の空が明るくなってくる。 南前方の薬師岳がピンク色に染まってくるとやがて東の空から太陽が顔を出す。久しぶりに見る きれいな御来光だ。急いで下り定刻通り出発。最初は雪渓をトラバースして黒ゆりのコルに下る予定だったが雪が多くロープが張られ通行止めになっている。折角アイゼン、ピッケルを持って きているのに残念だ。仕方なく剣沢小屋に下り崩壊した建替え中の剣山荘の横を通り一服剣に登 る。ここから先はクサリ場の連続だ、その前に初めての人に「剣は恐ろしい所だと思うな。人が行くんだから自分も行ける。そんな気持ちで行ってくれ」とハッパをかける。 

  前剣で休憩、目前の剣の本体は岩壁がそそり立っている。カニの立這付近はかなりの人が登りを待っているようだ。今日の登りのハイライト、カニの立這も皆何の問題もなく登りきる。山頂は先に登ったツアーの団体と我々でほぼ満杯だ。360度の展望は実にすばらしい。ツアーのガイ ドが百名山が23座見えると説明しているが、自分の目で確認できるのは南を向いて右から白山、 南前方に薬師、黒部五郎、その向うに笠ヶ岳、後方はるか向うに大きく構えているのは多分乗鞍 だろう。近くに目を向けると立山、水晶、鷲羽その向うに槍、穂高が見える。その左に大きく三 方に尾根を持った大天井、その奥に常念があるが確認できない。左後方に北岳、ガイドは仙丈、 甲斐駒も言っていたが自分ではわからない。その左後方の雲の上に富士がかすかに見える。

  東を 向けば鹿島槍、八峰キレットをはさんでどっしりとした五竜、唐松、ノコギリの歯のような帰らずの剣、大きく切れ落ちた帰らずのキレット、白馬三山からの白馬岳、五竜と唐松の後方に噴煙 をたなびかせる浅間山、独得の戸隠の左に見えるのがおそらく高妻だろう。白馬のはるか後方に 一際高い山火打だ。眼下を見れば人をも寄せ付けぬ剣のハツ峰、小窓尾根の岩稜が横だわってい る。北方を見れば猫又山、毛勝山が大きく構えている。一度は登ってみたくなる山だ。何時まで 見ていても見飽きる事がない。 

 11:00出発、表登山道と別れ早月尾根に出るといきなりの急降下だ。垂直に近い岩場を下り(カ 二のハサミ)クサリにすがり慎重に下る。2800mの標識のあるところで休憩、真下の雪渓で数人 ほど遊んでいる人影が見える。そこまで下り昼食にする。いくら下ってもその雪渓が現れない。
13:00ようやく雪渓にたどり着く。遅い昼食にする。雪渓を掘り起こしかき氷を作る者、また雪国育ちのS氏はちょっと遊んでくると言って雪渓を下って行きピッケルで何かやりだした。ゲレ ンデを作っているようだ。やがてソリも付けずに器用に滑る。3:50出発、14:35早月小屋に着く。 こちらは人も少なく静かだ。17:30夕食後夕日を見に展望所に行く。小窓尾根の岩稜が夕日に赤 く染まってくる。雲海の富山湾に沈み行く夕日もきれいだ。この山行は本当に天気に恵まれる。 

 今日はそう急がないので小屋で朝食をとる。5:55出発、岩場の下りはあまりないが、いきなりの急降下だ。本の根っこをつかみながら下る。小屋から馬場島まで1500mを下るのだからやはり長い。水平歩道が200mほど続いただろうか小屋跡に出る。ここからまた急降下が続く。予定よ り20分早く馬湯島に9:15無事下山。バスが待っていてくれたので大日班と合流すべくグリンビ ュー立山に向かう。車中で西上氏の奥さんから連絡が入り、体調が良くないので一人そちらに下 山中とのこと。西上氏とも連絡がとれ20分ほどでバス停に着くので、そちらに向かうとのこと。 大日班とは電話がつながらない。11:15グリンビュー立山に着く、予定より早かったのでまだ称 名の滝まで下ってないだろうからバスは迎えに、称名の滝まで行ってもらい入浴をする。風呂上がりビールを飲んでいると帰ってきた。遅れて西上氏も無事到着。このホテルは食堂がないので駅の階上で昼食をとり、14:20出発、最終三山木に20:00帰宅。 

  この山行かなりハードで危険を伴うコースだったが皆協力し弱音も吐かず無事完走できた事を誇りこ思っています。また、この夏山は室堂一極集中、四方に別れて各コースに行く予定だったが、剣はハードコースのため安全登山ということで剣御前まで足を伸ばすことをお願いし、聞き 入れて下さった事に一行を代表してお礼申し上げます。

   感想                 目指す剣の岩峰              内匠美佐子
 北アルプス立山連峰は近年、観光化が進み多くの人で賑わう山となり、あまり足を向けること がなかった。でも一度は行ってみたい山域で今回グッドタイミングであった。最近フリークライ ミングを始めたこともあり、即座に剣コースを選び、カニのタテバイ、ヨコバイに挑戦してみた かった。 

 室堂から剣御前へ向かい、あくる日は剣岳を目指して、早月尾根を下るコースである。標高 2600m以上の山々には、いたるところに残る白い雪渓と雄大な山々、よく晴れた真青な空のコン トラストが絵の様に鮮やかに広がり、とてもとても美しい景色でした。雪をかき分け、シソジュ ースをかけて食べたときの美味しさは格別! 

 期待していた岩登り、特に力二のタテバイは意外に楽でした。危険な足場には金具が固定してあって登り易かった。今回、ヨコバイは通過しなかったので少し残念。剣岳山頂は次から次へと 登ってくる人々で一杯でした。中には見渡す山々の説明をしているガイドもいて、耳を傾けじっ くりと山々を眺める事ができました。この小さな日本には、たくさんの山があるんだなと改めて 感じた。

  眼下に荒涼とした早月尾根を見定め下るが、登りよりもこの尾根下りの方が厳しかった。 随所に鎖はあるものの、落差が大きく、ガレ場続きで、落石を気にしながらの下りだった。時々、 後ろを振り向き、よくもあんな所を登ってきたもんだと感心し、充足感に酔っていた。全員無事 に下山できよかったです。



                  

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