1月中旬、ニュージーランドに出かけてきた。向こうは夏の真っ盛り。寒い日本からの脱出となった。ニュージーランド・トレッキングの両横綱、ミルフォード・トラックとルートバーン・トラックのどっちを選ぶか迷った挙句、いっそのことと両方に出かけることにした。おまけは、最高峰アオラキ・マウントクック。トレッキング漬けである。


小さな美しい観光都市クイーンズタウンからバスで出発。ニュージーランドは羊の国である。お羊さまがお通りの間、車はすべてストップとなる。

ミルフォード・トラック・トレッキングは4泊5日。コースは、その昔氷河に削られてできたU字谷の底を歩く平坦な道である。森もあれば、草原もある。この50数キロを丸3日がかりで歩く。

途中で、一箇所700mほどの峠を越える。大きなカールが見える
世界第5位の高さというサザーランド滝もある。
雨が降ると、U字谷の両側の絶壁で「滝の饗宴」が始まる。
歩いた後のおまけに、最後に、ミルフォード・サウンド(湾)という美しいフィヨルド湾のクルーズが締めくくりとなる。
続いてルートバーン・トラック・トレッキング2泊3日。ここは山腹を歩くコースで、低いところは森林帯で、湖もある。氷河の溶けた水の流れ込む湖で、水浴びするニンフ?もいる
1000mを越えると森林限界を突き抜けて、氷河を戴く山々が見える展望のいいコースとなる。道の傍には高山植物の花が咲き乱れる。
300mほど登った小高いコニカル・ヒルからは360度の展望。天気もいいし見晴らしは抜群。ゆっくり休む。至福のときである。
コニカル・ヒルのすぐ下の湖。神秘的な色だった。周りには誰もいない。水音だけ。ミルフォードよりこちらの方が、少し「通向け」コースのようだった。
帰り道、2泊3日でアオラキ・マウントクック(現地では、先住民の呼び名アオラキを必ず頭につける)に寄る。ここは世界遺産。よって、ホテルは大きなのが1軒だけ。ほかには店もない。ホテルの前に銅像が立つ。かのヒラリーさんだそうだ。彼はサーの称号を貰ったが、ニュージーランドの出身。このあたりの山で鍛えたらしい。
世の中、金さえ払えばなんでもアリ、とか。ヘリやセスナで観光飛行ができる。小さく頼りない飛行機からこわごわ眺めるマウントクックは恐怖感も迫力も満点。
夕暮れ、ホテルの前庭から「赤クック」が見えた。夏時間での9時過ぎにやっと日没。緯度の高さがわかる。間もなく南十字星やマゼラン雲が輝き始める。
1日、フッカー谷を上流へハイキングに出かけた。一般人は3時間ほど歩いたフッカー氷河の末端が見えるところでストップ。氷河と言っても、末端部は土砂をかぶって真っ黒。でも、ちょっとした崖にしかみえない末端の絶壁(池に面した 一番黒く見えるところ)が、30〜40mもあるそうな。壊れた氷河は池に落ち、身を清め、白い氷となりプカリプカリ。                        
近くで見れば大きく見える道理。マウントクックの勇姿。富士山より少し低いが、岩と氷の山で、ガイド付きでもちょっとやそっとでは登れないそうだ。 かくして、めでたく10泊11日(実質の歩きは8日程度?)のトレッキングは無事終わった。いいところでした。皆さんも機会があればお出かけ下さい。                          (倉光)