06年
夏山
 


ミクリガ池と大日岳連山/


 山行日
2006年8月4日(金)〜6日(日)
天候
   快晴
 コース
雷鳥荘泊:5日6:25⇒7:40室堂乗越⇒10:00奥大日岳(昼食)10:50⇒12:00七福園⇒12:40大日小屋泊(大日往復):6日5:45⇒8:10大日平木道⇒8:50大日平山荘9:10⇒9:50牛の首⇒11:20大日岳登山口(称名滝)
 参加者
リーダー:片山  サブリーダー:山下 
男性:四宮、三宅、
女性:杉本、濱北、中村、徳田
合計:8名    

  
    山行報告  片山弘志

 8月4日 午後1時、今年の夏山<立山放射登山>参加4グループ総勢29名が大型バスで立山室堂に到着した。剱コース組10名は更に剱御前小屋を目指して出発。室堂宿泊組は今夜の宿、雷鳥莊に向かうも前夜に食中毒騒ぎがあり、食事が出せず出前のカレー料理の夕食となった。お代わり自由のカレーライスが結構おいしかった。普段であれば時期的に登山客で満員の雷鳥莊もこんな事情でゆっくりくつろぐ事が出来た。
翌朝、雷鳥莊の前庭に立つと抜けるような青空と、岩と砂礫に包まれた立山連山、そしてこれから我々が向かう大日岳連山が目の前に迫ってくる。岩稜とはい松の緑と雪渓のコントラストが素晴らしい。
 
  8月5日 身支度を調え6時25分出発。昨日散策した地獄谷まで下り、室堂平のテントサイトを横切り称名川の橋を渡ると登山路に入る。剱岳への分岐を過ぎやがて室堂乗越への斜面に残る雪渓に取り付く。軽アイゼンを装着し100m余りの急斜面を登ると室堂乗越の稜線に出た。ここからは花の大日岳の通り色んな高山植物が目を楽しませてくれる。高度が上がるにつれ眼下には室堂平、地獄谷や弥陀ヶ原の湿原が一面に拡がり浄土山、雄山、大汝山の立山連山が雲一つない青空をバックに大パノラマでひろがる。大迫力である。
 
  奥大日の登りにかかると、右手に均整のとれた三角錐の剱岳が朝日をバックに浮かび上がって来た。目指す奥大日岳も見え隠れしているが結構距離があり、頂上に着いたのは10時。快晴の山頂からは弥陀ヶ原の彼方に野口五郎岳、薬師岳のダイナミックナ山容が望まれる。先客のパーティーと交代で記念写真を撮り、昨日室堂センターで調達した行動食で早めの昼食とする。無線交信タイムで立山班、剱班にコールするが応答なし。しばらくして剱班の佐々木さんの声で10時20分全員が剱岳登頂の連絡が入った。
 
  奥大日岳からの下りは岩稜地帯となり、雨で砂礫が流され浮き石が多い。落石に注意しながら急斜面を下る。ロープや梯子のある変化に富んだ下山道だ。そんな中、女性たちからはフラワーストップの声がかかる。中大日岳を通過し大日岳への登りは、大きなごろごろ石の間を縫うように登って行く。やがて大きな石の散在する庭園風の場所に出た。七福園の標識があった。ここは立山や剱岳遙拝の聖地として大日岳が開かれた当時最大の修験者の行場の場所であったといわれている。

  何度かの登り下りで稜線をこえると大日小屋の赤い屋根が目に飛び込んできた。やれやれやっと到着。宿泊手続きを済ませ、荷物を置いて大日岳へ向かう。片道20分、写真を撮りゆっくりと時間を過ごす。遙か南には笠ケ岳、槍ケ岳の特徴あるシルエットが浮かぶ、北には剱の奥に朝日岳、白馬岳などが望まれる。時間の経つのも忘れる思い。堪能して大日小屋へ戻り早速冷えたビールで乾杯。今夜の小屋は今シーズン最高で定員の3倍の120人。食事も4〜5回に分かれ大忙し。寝床は雑魚寝で枕の幅が1人分のスペース。部屋の温度も丁度よく、夜中トイレにも行けて何とか寝られたようだ。

  8月6日 今日は最後の下山コース。標高2500mの大日小屋から700mの称名滝まで
1800mを下る。剱班と称名滝で合流し一緒のバスで帰る約束なので、早めの出発とした。
大日小屋からすぐに急坂下りとなった。1時間半で大日平の木道に出る。大日平山荘ではトイレ休憩だけとし先を急ぐ。木道が切れさらに急な下りに入る。牛の首から猿ケ馬場の間は7月豪雨の爪痕でかなりの崩壊箇所がありロープ、梯子の難所続きで慎重に下った。
称名川の渓谷が木々の間から足元の先に覗ける。長い長い下りもようやく称名滝の登山口に着いた。11時20分。5時間余りの下山であった。

  今回一緒に参加頂いた8名の皆さんのお疲れさまでした。快晴に恵まれ眺望のすばらしさ、変化に富んだ登山コース、花の大日の通り沢山の花に出会いました。堪能されたと思います。
会計をお願いした杉本、濱北さん、最後までしんがりを努めて貰った三宅さんありがとうございました。また立山のホテルで汗を流し、快適な帰りのバスを段取りして頂いた徳田康さんありがとうございました。




 


雪渓を登ります  

奥大日岳山頂  
   

         雷鳥荘の前で 後方奥大日岳 

大日岳へ向かう
 
 

                剱岳が姿を現した 

           大日岳山頂  
  
    キヌガサ草    

コイワカガミ

チングルマ 
剱岳・剱御前・真砂岳・立山三山・浄土山(左から)のパノラマ写真

                                                    「写真提供は片山さん」

 


   感想                大日三山縦走登山             三宅 武
 私はこの立山付近では26歳頃剣に、48歳頃浄土山から龍王岳を経由して黒部ダムヘ、また、立山 三山は57歳の時それぞれ登っていますが、何故か大日三山には美しい山の姿の魅力を感じていましたが近づけなかった。まるで美人を遠くからばかり眺めているようで接近できなかったような感じでした。で今回その大望の美人とデイトするようにドキドキ胸のトキメキ、まるで青年に戻ったような新鮮な気持ちで、奥大日から称名の滝まで縦走できる機会に恵まれ、お世話になった山友会の方々には 大変感謝致しております。

 8月4日:バスの左は称名の滝でその上に大きくてどっしり貫禄を見せている大日連峰がおさまっ ている。奈良の若草山の大きいのやと冗談がとぶ トンデモナイ雷鳥荘泊。  

  8月5日:絶好の登山日和、空は抜けるように青い。周りの山岳の緑と雪渓などそのコントラストが素晴らしい。まず称名川の源流へ色とりどりのテント小屋を横切り、周りの残雪の雪解け水が集ま りゴウゴウと流れている。橋を渡り左折し、山裾を谷川に沿って進む。剣岳へのルートをやり過ごしさらに前進、道は右へ登る。石のゴロゴロ道だ、小学五年生だという男の子がとても元気に登って行 く。アイゼンを装着、雪渓を確実に歩を進めること約100m新室堂乗越、ここは剣御前小屋からの尾根に通じている。ここを左へしばらくは緩やかな登りで、左下の室堂平の景色が美しい。そして立山三山が灰色に聳えている。浄土山が尖っている、標高2500m付近で鏡谷につく。右後ろに剣の早月尾 根のゴツゴツした恐竜の背中のような形状を見張る。左には2611mの山、目指すは右の大きく聳えて いる奥大日だ。道は頂上に向かって白いジグザグの線を引いている、汗をふきふきこれをガンバル。

  日本二百名山標高2602m奥大日岳頂上だ。どの顔も嬉しさでいっぱいだ。あれは何々山だ、あそこは何々岳だと賑やかだ。写真撮影も忙しい、剣は他の山と違う、頭が黒くて険しく鋭角三角形をあらわ している。  しばらく進んで岩稜地帯となる中大日、大日は見えているがルートはドンと下がっている梯子あり 鎖ありで落石注意して七福園に着く。まことに美しい庭園だ自然にできたにしてはスゴイ、右側の岩峰がせりあがっている。足元は飛び石状態でハイマツの枝先が岩の間から眺び出している、フラワー ストップの黄色い女性達の声また声、小学生にかえったようだ。ハクサンフウロ、トリカブト、タテヤマリンドウ、ツマトリソウ、キヌガサソウ、ミヤマキンバイ、ウサギギク、イワツメクサ、チングルマ、ゴゼンタチバナ等々男はフンフン感心している、ライチョウが沢山いる。それやらなにやらで 前方の岩峰を三点支持で登って中大日岳2500mに登り着いた。少し休憩してランプの宿、大日小屋に着く、リュックを置いて大日岳へ、みんな元気だ。たった20分で頂上に立つ、バンザイしてカメラに おさまる。

  南は雨の平いや違う雲の平、薬師岳その横に黒部五郎岳そして水晶、鷲羽もっと奥に朝日、 雪倉、白馬、杓子、白馬鑓、東に唐松、五竜、鹿島槍、常念、槍、穂高連峰とにかく天気が上々で山 達は私達人間に、その雄大さを魅せつけている。少しぐらいガスで見え隠れしている方が山の魅力を 感じる。剣岳の赤く燃えるまで寒さを凌いで見守る、早月小屋ではウレシサとコウフンでビールもジャンジャンお腹につぎこんでいるだろう。小屋は満員、枕幅が自分の寝所だ、イビキですみません。  

  8月6ロ:今日は下山あるのみルンルン気分で称名滝へ行こう。なにかルンルンだ、誰だ奈良の若 草山みたいな……とんでもない標高1800mのすごい下り道だ。大日岳の西側は切り立っている、そこに付けられた岩や石のゴロゴロ道、鎖と梯子、一歩一歩油断できない。やっと木道に出た、後ろを振 り向くとほとんど垂直の岩峰だ。前方は弥陀ケ原ここは東西9km、南北3kmの溶岩台地の大高原この スバラシイ景色登山する者の特権だ。

  汗をかこうが思いリュックかつごうが、少々疲れあろうが登山すると、私いつも思う、苦労して登って行くと突然視界が開けて高い所からしか見られない景色に感 動する。足腰の筋肉を鍛えたり、おいしい空気、澄み切った空気、心肺機能強化、汗をかいて体内の汚れを出し持参の美味しい水を飲む誠に健康的だ血液が浄化される。高山植物達ケナゲに咲いている等と登ってみないと分からない。大日平山荘で休憩、水を補給して木道を行く弥陀ヶ原の大高原を高さ 500mぐらい千寿ヶ原あたりまでエグリ取ったような地形に出た。これまたスゴイ急坂を下る、称名の滝に通じる観光道路に出た。ウレシイみんなそれぞれ握手して無事下山出来た事を喜び合った。

  称名 の滝を見物、水しぶきが服もカメラも濡れてきた、落差350mの壮大な滝だ、滝は四段で水音が南無 阿弥陀仏と称名念仏のように聞こえたことから称名の滝とネーミングされたとの事。  

【気づいたこと】
  @ 登山靴にはクッションのよくきいたインソールを自分の膝関節の保護に。
  A 登山前日3日程前から バナナを食す、必ず寝る直前にしか効果ない。
  B 眠り薬は体調によっては持続して登山にはダメだ、夜寝不足でも朝にコーヒー、デボチンに
     サロンパス貼って気合を入れて歩く。  


 感想                 雌伏3年立山に立つ      四宮 誠次郎
  食道ガンの手術をして早3年になる。治癒していると思うが、病と付き合って残された人生を有意義に全うしたいと思うこの頃です。退院してからも山への想いが断ち切れずウオーキングは勿論、甘南備山、生駒山、葛城山を幾度となく歩いた。今年の夏山は体調が良ければ行こうと決心していた。 塩もなめ、ポカリやお茶を飲んで、7時間の比叡山山行を乗り切った。  

  8月4日(金)快晴。昼過ぎ室堂バスターミナルに到着。市民秋山登山以来の立山だ。しかし、雷鳥荘は食中毒の疑いでてんやわんやしていた。山荘の努力で晩はカレーライス、朝はパンになった。ヌル ヌル温泉につかりゆったりと寝た。夜中、酸が喉につかえて目が覚めた(酸が逆流しないよう普段から枕を高くして寝ている)。大事なかった。  

  8月5日(土)快晴。寝不足で少し頭痛がする。新堂乗越までの急登には雪渓が残っていて感触を楽しんだ。立山三山、剣岳を見上げながら奥大日岳を目指した。東前方かなたに一文字にたなびく雲の上“あれ白山と違う”?南に見える山は“薬師岳だ!”との声に初心者の様にキョロキョロした。槍も見えた。チングルマ、イワイチョウ、ショウジョバカマ等のお花畑の群生に、苛酷な自然に凛と咲く花の生命力を感じた。私も病に負けないぞと思った。10時過ぎ奥大日岳に着いた。最高の感激だ。誰が置いたか岩の間に持仏像があって私達の安全を見てくれているようだった。  

  大日小屋に着いたのは早かった。勿論大日岳に登ったが、枕一つ分の寝床に参った。古希を迎える年の夏山完歩は感無量だった。これからも体調と体力と相談しながら身の丈に合った山を登り続けたいと思う。