明神平
――テント泊――

日 時 2005年2月11日(金)〜12日(土)
天 候 くもり
コース ◆2/11
新田辺6:40発→林道終点11:00→滝12:30→明神平13:50着
◆2/12
明神平7:20発→国見山9:00→明神平10:35→林道終点12:15
八幡温泉14:40→新田辺17:30着
参加者 リーダー:平松   サブリーダー:山口
男性:金本 北川
女性:大谷 堀尾
合計:6名


<山行報告>
◆2月11日(金)
 北川さんの車で予定の時刻の6時30分に出発し、林道終点の駐車場に9時30分に到着しました。駐車場には既に10台位の車が、また側道にも駐車しており、サービス精神旺盛な北川さんが「登山口まで行こや」と車を進める。ここでヒヤリハット。前方に倒木がありブレーキを踏んだ途端にスリップする。用意していた新しいチェーンを付けることにしたが、皆チェーンを付けるのは初めてで1時間ぐらい掛かってやっと装着でき11時に出発した。

 1時間ほど歩くと樹氷が現れ滝の所で昼食にする。今日は明神平でのテント泊で急ぐことも無い。ここからは一面の樹氷で銀世界の中を登る。先週の高見山の樹氷も良かったが、明神平は山全体が樹氷でスケールが大きくて素晴らしい。1時50分に明神平に到着した。天理大学山小屋横には既にテント2張りがあり、その下に設営する。みんな手慣れたもので直ぐに今宵のねぐらが完成する。

 後は夕食までの時間を明神岳に登ることにした。隣りのテントの夫婦がカメラを据えてシャッターチャンスを狙っているのに出会う。「こちらは薊岳のほうですよ」標識を見てきたのに反対の方に来たらしくて時間も遅いのでテント場までトラバースで戻る。よく締まった雪の上に自分だけの足跡を残してサクサク音を立てながら歩くのは実に楽しい。周り全て白一色で雲の切れ間にキラキラと輝く樹氷は素晴らしく言葉に表せない。

 夕食はキムチ鍋で大谷さんが担いできた大鍋での肉、野菜、豆腐、餅など具沢山の中身もアットゆう間に無くなる。重い荷物を担ぎ上げてきて食欲旺盛、後はそばを入れて楽しい晩餐も終わる。後はすることも無く寝るだけで6時過ぎに就寝。目が覚めて時計を見ると10時、何時もの寝る時間で2時過ぎまで深夜放送を聴くが夜の長いこと、うとうとしてやっと起床時間の5時に。

◆2月12日(土)
 マイナス10度の明神平の朝は身が引き締まる。4年ぶりに念願の霧氷を堪能し至福のときを過ごした。朝食はキムチ雑炊とミルクコーヒーで済ませて、7時20分に出発した。隣りの京都府立大学ワンダーフォーゲル部4名(高見山へ縦走)の後を追って国見山に8時35分到着した。道中はさらさらの雪で締まっており歩き易い。昨日と違い荷物がないので雪山歩きを楽しめる。

 9時45分にテント場に戻り、テントを撤収して10時35分に出発し、林道終点に12時15分に到着した。八幡温泉で温泉に入り、ふるさとの村祭りにイベントのしし鍋とぜんざいとビールを一口、(北川さんすみません)後はふるさと村(100年前の校舎を改造)の食堂で遅い昼ご飯。あまごと豆腐が美味しかった。予定通り6時に帰着しました。
 リーダーの平松さん、ドライバーの北川さん、参加いただいた皆さんありがとうございました。
(報告者:山口 博)

  
  

  
  



<感想>
 こんなに感動した山行はなかった。雪が固く付着した枝が垂れ下がり顔に当る。霧氷がその上に輝き、たおやかな山の稜線が垣間につづく。普段なら見上げる樹々の枝も、ほとんど目線の高さで氷や雪をまとい、下草も2mにも達する雪の下に眠り、白銀の世界はメルヘンだった。
 積もる粉雪は膝まで埋めラッセルを強いられる。それでもやさしい起伏の感触は心地よく苦労もない。地上のすべては遅い春を待ちつ足元深く眠っている。白一色なので目も疲れないのかも知れない。次々と変わるステージは感激の連続だった。もう死んでもよいと思ったほどの感動を身体いっぱいに受けた。

 今回の雪山キャンプは、時季は異なっても、行ったことがあると言うだけで身近に感じることはあった。その時と同じ駐車場所として確保できるスペースに向けて車を進めた。バス路線は大又バス停で終り細まった林道を進む。数日前の積雪が目立ってきた。すでに入山した車が駐車していたが、楽を考えて、もっと上部に車を進める。わだちにそろそろアイスバーンも目立ってきたが車は動いている限り高度を上げる。ここで駐車すればよかったのに、とうとう勾配のところで止まってしまい車輪の歯止めをしたり、チェーンを装着のため、かなりの時間を無駄にし、皆様に危険を強いてしまい申し訳なく思った。

 小1時間もの歩行開始は9時半だった。見覚えのある林道延長工事はそのうえに雪が積もり、足元は滑らないとする。旧あしびき山荘は朽ちて放置されたままだ。昨年全国を乱した数回の台風の影響で軟弱な沢は崩れ、樹木は根こそぎ流れ落とされている。人の手による治山なのか、自然の為せるままでよいのか複雑な気持ちになる。かなり重い荷負いと雪道で足がよろめく。

 ロープをつかみ谷を向うへ渡り沢を分ける。他の先発パーティが休憩する明神滝の展望地点で少々早い昼食をとる。明神滝は垣間枝の向うで飛沫を散らし、勇壮に音を響かす。いつか絵に描きたいと思い、おにぎりをほうばりフレーミングを考える。斜高するほど急登が増しザックが肩に食い込む。写真の余裕など考えられない。歩が落ち度々立ち止まり息を整える。積雪が増し、これから先が恐ろしく不安が募る。体力は持つだろうか、寒さに耐えられるだろうか・・・

 3月の上高地テント泊まで予定しているのに、どうも自信がなくなりそう。上部に目をやると稜線が近づいている。心が晴れる。もうすぐこの苦しみから解放されるのだ。程無く樹林を抜け勾配が緩み広大な明神平に解放された。やーっと来られた。天理大あしびき山荘前の東屋が迎えてくれた。昨年、山口さんがカレーカップメンをつくってくれた東屋の下のテーブルは雪に埋もれて雪の地表面とほとんど変わらず、かなりの積雪が窺えた。

 幕営地は更に先の樹林の中となった。数張りの先客のテントが並ぶ。雪の地盤を水平に均し、整地して雪を踏み固める。メンバーの手際が良い。促されてテントを拡げる。骨を組み、設営も整ってきた。十数メートル離れて平松さんがトイレも造ってくれた。荷を軽くし、明神平に向けて出発する。スキー場跡と知った緩斜面を進む。広大な明神平は曇っているが視界はよい。いちめんの霧氷原、気温はー5度。無風状態なので寒くない。写真を撮りあい、展望を目に焼きつけ幕営地へ戻る。

 翌朝、国見山へ向かう。樹氷や霧氷は更に重く垂れ下がり、進む頭を阻む。粉雪に足をとられラッセルとなった。やはり無風状態なのでー10度でも温かく、メルヘンで歓声をあげる。国見山頂で写真を撮り、雪山談義で時間の経つのも忘れる。テントバに引き返す途中の景色は違った目線で新鮮な景色だ。感動の連続で死んでもよいと思ったのはこのあたりだ。登高の苦しさが深いほど、感動も一潮だ。
(北川欽造)