上高地・西穂高

日 時 2005年3月3日(木)〜3月5日(土)
天 候 晴れ・雪・曇り晴れ
コース ◆3/3
新田辺6:30発→平湯温泉12:00→釜トンネル12:30→
大正池14:00→穂高橋15:00(テント泊)
◆3/4
穂高橋7:30発→釜トンネル10:00→新穂高11:00→
西穂高口12:00→西穂高口14:30発→新穂高15:00→
平湯温泉15:30着
◆3/5
平湯温泉9:00発→白川郷11:50→白川郷14:30発→
尼御前16:00→新田辺17:30着
参加者 リーダー:山口  サブリーダー:佐々木
男性:北川 志賀
女性:大谷 堀尾
合計:6名


<山行報告>

◆3月3日(木)
 6時30分に京田辺を出発して11時に平湯温泉に到着し、平湯館に車を預けて釜トンネルまでタクシーで行くことにした。この時季はタクシーが少なくやっと一台が手配できピストンしてもらった。大きな荷物を担いでの歩き始めは苦しい。やっと釜トンネルを出ると予想に反して道路は除雪されており、ワカンも付けずに歩けた。やがて雪の焼岳が姿を現し頂上より噴煙が上がっているのが見える。いつも見慣れた焼岳も今日はきれいに化粧をして見せてくれる。

 焼岳を見ながら温かいコーヒーと大谷さん手作りのケーキが本当に美味しい。大正池からは除雪された工事用の道路を歩いた。この時季一般道は1m位の積雪があるので随分と助かる。この時間には入山者もすでに下山していて、上高地には我々だけで木の上からお猿さんだけが私たちを迎えてくれる。1時間程歩くが河童橋はまだまだ先で、穂高橋の温泉ホテルの前の梓川の畔にテントを張ることにした。この時期はホテルも閉鎖していて、シーズン中の喧騒が嘘のように静まり返っている。
 
 テントを設営して河童橋まで散策し、テント場には6時に戻った。雪に覆われた梓川、静寂の上高地の自然に浸り、夢が実現でき感激しました。いよいよ楽しい夕餉の準備が始まる。今晩のメニューは堀尾さんの牛乳鍋で、サーモン、海老、ホタテなど海鮮にコーン、ネギ、エリンゲ、白菜などの野菜がたっぷりに大鍋にこってり味の鍋が出来上る。泡盛も今回は酒豪がいなくてなかなか空かない。最後にお餅を入れて満腹に、やがて北川さんがおやすみタイム、我々も8時に就寝した。シュラフの中は温かい。外は雪で今夜は大分積もりそうだ。

◆3月4日(金)
 予定の5時に起床。テントの上には5センチ位の雪が積もっていてまだ粉雪が舞っている。夕べの鍋に雑炊で朝食をすませて、7時30分に出発した。帰りも工事用道路を歩く、除雪の後に新雪が積もり我々だけの足跡を残してアイゼンも付けずに歩けて、さらさらの雪の感触を堪能した。クロスカントリーをすればもっと面白いだろうと思った。

釜トンネルに9時30分に到着し、平湯のタクシーを頼むが11時まで帰ってこないとのこと。沢度のタクシー会社を教えてもらい手配できてやれやれ一息。11時30分に新穂高ロープウェイに到着した。ロープウェイ駅穂高西口には3mの積雪があり天候も悪いので西穂高山荘までの登山を断念して付近を散策しました。平湯温泉には3時30分に到着しました。

◆3月5日(土)
 平湯温泉を9時に出発し、世界遺産の写真で見た雪の白川郷が見たくて立ち寄ることにした。360号線の天生峠が冬季閉鎖で宮川から引き返して荘川ICから入ることになり1時間ほどロスに、ホテルで情報を取るべきであった。白川郷は期待したほどの雪は無かったが道中の雪景色を楽しみながら冬の変わった姿が見られた。
 ドライバーの北川さん、佐々木さん、同行して頂いた皆さん楽しい3日間でした。ありがとうございました。
(報告者:山口 博)


  
  

  


  

(写真提供は山口さん)

<感想>
 上高地には何度も訪れているが、冬の時期にはこの地には脚を踏み入れたことがない。山友会の写真展で、上高地の静寂な冬の落ち着いた幻想的な水と林と雪の光景を見たとき、是非行かなければと思っていたところ、この企画があり万難を排して参加した。
マイカーで平湯温泉まで行き、安房トンネルから釜トンネル入口までタクシーを利用した。天気は良好でトンネルを抜けるとまもなく、雪を被った焼岳がカラマツの立ち並ぶ小さな尾根の向うに、猛々しく煙をあげ聳えていた。

 純白の雪とカラマツのアーバンと梓川の群青の水とのコントラストが眼に美しい。林道はカラマツの林を縫って除雪されていたが、表土は凍結して滑りやすい。荷物は肩に食い込み辛い思いはするが、見渡す冬景色は絶好で、冬枯れの静寂な水面と雪と氷の大正池の世界や、黒々立ちはだかる明神岳、穂高の真白き高き峰々、梓川から急立する六百山、霞沢岳などの光景は、まさに神河内(上高地)にふさわしい自然美が、無尽蔵に配されている心地がした。落葉松の落ち着いた彩色がまた楽しい。

 林道を歩くこと、大正池から約1時間ほどで穂高橋の端についた。閉鎖されたホテルや道案内の背丈を越える標識は深く雪に覆われていた。静寂な雪の世界に、私たちは自然の一つの物体として全く違和感がなく融合していることを感じた。梓川の畔でテント設営した。
――― 冬の陽は傾き早く焼岳と 薄き光を水面に残して ―――

 翌朝、雪は深々と降っていた。川も森も山も静寂の中の目覚めだ。視界はきかない。昨日が絶好の天気でよかった。しかし、降る雪の道を歩くのもまた楽しいものだ。川辺の風景を名残惜しそうに見て、撮ってそれから林道を下った。大正池に再び寄り、昨日と違った風景があった。まさに墨絵の世界だった。光と影の演出で、カラマツの静かな陰影と薄氷と雪の攻めぎわが、実に美しい。

 釜トンネル出口でタクシーを待ち、平湯温泉に行った。そこから自家用車で奥穂高温泉郷まで行き、視界のない西穂高口までロープウェイで昇った。絶景の眺望も、笠ケ岳の勇姿も、槍ケ岳への憧憬も、乳白色でさえぎられ残念至極だったが、わずかに見えるゲレンデの木々は、白き雪花で飾られて美しく華やいでいた。千石平は3m以上の積雪で、かつて秋山登山で登った西穂高山荘への道は、深い雪に閉ざされていた。

あくる日も相変わらず雪は降っていた。ゆっくりした朝を過ごし平湯温泉をあとにした。途中、庄川御母衣ダムの渇水を見て、雪の白川郷を見学して帰京した。冬の上高地といい、飛騨、白川郷といい、季節を問わず素晴らしい日本の原風景があることを再確認した旅であった。
(佐々木英夫)


 今思い出しても身震いするほど美しい景色が浮かんでまいります。
上高地という名は知っていても訪れることはなかった。釜トンネルを抜けると焼岳が、しばらく歩くと穂高が目に飛び込んできた。一度は来てみたかった上高地。目の前の穂高連峰の神々しさ、裾野に広がる雪景色の繊細さ。
こんなすばらしい大自然の中で遊べる自分は本当にしあわせでした。思い出せないけれど一晩ぐっすりテントで結んだ夢もきっと美しかったことでしょう。感動の一日でした。
(大谷典子)