大台ケ原・大杉渓谷


日 時 2003年5月24日(土)〜25日(日)
天 候 曇り後雨
コース 5/24(土)
新田辺7:00発→六十尋滝12:00→登山口12:30→千尋滝14:30→
シシ淵15:30→桃の木16:40(山の家泊)

5/25(日)
桃の木6:00発→七つ釜滝6:30→光滝7:30→堂倉滝8:20→
日出ケ岳12:20→大台ケ原13:10→新田辺18:00着
歩行距離 5/24  8.6km  高低差200m 
5/25  9.8km  日出ケ岳までの標高差1250m 所要時間約6時間半
参加者 男性10名   女性9名        合計19名
リーダー:宮野    サブリーダー:佐々木
会計:堀尾、岡田



<山行報告>
◆5月24日(土)
 『新田辺での憂慮』送迎バスを見て、予約と違うと思った。車高がマイクロバスより高い。宮川ダムから登山口の情報は伝えているし、バス会社の方でも現地に確認するよう要請していた。登山口までが予約の条件だった。
予知していたように六十尋の滝でドライバーは、これ以上は無理と判断した。登山口まで2.4kmとある。これ以上強制して進みダムに転落事故でもあっても大変と、ここで車を諦めた。雨具の支度をし林道を歩く。
アイドリングのつもりと気持ちを切り替え、渓谷懸崖の鎖場を歩く。宮川第3発電所を過ぎると、道は深くV字の垂直に近い懸崖の鎖場が続く。清流に侵食された崖地や露岩を眼下に、また支流から砕け落ちる滝の数々を見ながら慎重に歩く。
つり橋や鎖場の道はよく整備されていた。
本降りの雨ではなかったが緑が美しく、清楚な白の岳ウツギや像ノ花を見ることが出来た。
千尋の滝は圧巻で、まるで天空から水の落ちる感じがした。シシ淵・平等ーを経て桃の木山の家に無事到着した。
◆5月25日(日)
 朝は5時半の朝食で6時の出発とした。天候は最悪。雨の大台の名の通り濃霧が切り立った山崖を覆っている。やがて雨になるのだろう。鎖場の険しい道を登ること30分ほどで、七つ釜滝の展望小屋に到着した。日本百名瀑の一つで、段々に淵を作り連なって落ちる白布の景観は素晴らしい。堂倉滝に着きつり橋で記念写真を撮る。渓谷とはここで別れ尾根筋の急勾配の道を登る。
本格的に雨が降り出し、登ること4時間、視界ゼロの日出ケ岳に登頂。昼食もそこそこに大台ケ原に下山した。
石楠花、曙ツツジを愛でる暇もない雨の洗礼を受けた残念な山行だったが、全員無事に完歩できたことを感謝します。
(報告者 佐々木英夫)
            

 幾千年かけて造れし渓谷の   
    怒涛の流れ懸崖に響けり

天空の峰より落つる千尋の滝は
          緑を縫いて涛涛と流る


<感想>
 山行2日間の天気予報は晴れだが、西から崩れてくることだった。新田辺を出発するときは晴れていた天気も次第に曇りに変わり、雨が降り出した。バスのドライバーは出来るだけ登山口に近づこうと狭い道を慎重に進んだ。
バスの中で昼食をとり、雨具に着替えて歩きはじめた。
第三乗船場から第一乗船場、そこから登山口の宮川第三発電所まで30分要した。熊谷吊橋、地獄谷吊橋を経て千尋滝(せんぴろたき)へ。35年前と比べ立派な吊橋に驚く。千尋滝は豪快な長い水柱を作り出していた。尋(ひろ)とは1.5mのことだと標識に出ていた。それからすると千尋滝は1500mになるが、さすがにそこまではない。長い滝を強調して命名したものだろうと思う。
翌朝あいにくの曇り空。いつ雨が降ってもおかしくない天候で前途多難を思う。今日は私にとって標高差1200m登るというまさに恐怖とも思えるコースに挑むことで緊張感が高まる。
出発から程なくして姿を現した七つ釜滝はその美しい容姿を惜しげもなくさらけ出している。
その後光滝、隠滝を経て堂倉滝へ。
私が昨日から見てきた滝の中で堂倉滝が一番身近に見えて横幅が広く水量も豊かなものに思えた。しかし、西上さんは今まで見たうちで一番水量が少ないと言っていた。
今日の登りはさすがにきつく急登りの連続はそれなりの疲れを感じさせたが、想像していたよりも足は動いていた。案ずるよりも何とやらがここでも生きているということか。わが足に感謝することしきり。シャクナゲ坂にはピンクのかわいいシャクナゲがところどころに咲いていて疲れを癒してくれた。わずかであったが、曙ツツジも姿を見せていた。
日出ケ岳(1695m)へのフィニッシュは結構きつかった。風雨がきつく寒さも増し、昼食もそこそこに食べて下山した。
大台ケ原をゆっくり散策することを楽しみにしていたが、残念ながらできなかった。それよりも1200mの急登を歩けたことに大いに満足した山行であった。
(遊佐研二郎)


<感想>
 ――滝絵巻を楽しみつつ大杉渓谷を歩く――
最初から雨具を着用しての歩きとなる。バスを降りてから登山口までのピッチが速い。
私には早過ぎる速度だ。遅れないように一生懸命に歩く。「今日は楽なんだ。問題は明日だよ」
何度もそう言われながら歩き続ける。最初に出会った千尋滝には目を奪われた。この渓谷最大の滝だと言う。
高度160m玉簾のような透明の水の動きが雄大で美しい。木々の緑が迫ってくる。滝音が快く響いてくる。参加してよかったとひしひし感じる瞬間だ。
大腿部に強いビリビリがきた。情けない思いでいっぱいになるが、皆より少し遅れて小屋にたどり着いた。
翌朝も天候はさえない。「伊丹さん何か荷物を持つよ」と親切に声をかけてくださり、万一のことを考え甘えることにした。
皆に助けられてこの日は快調に歩を進めることが出来た。鎖につかまりながら慎重に歩くが、吊橋を渡り終える寸前にしりもちを着いてしまった。右手薬指が紫色になって驚いたが、骨折ではなかった。
シャクナゲがつつましやかに、道のそこここで咲いている。ヤシオツツジも咲いて、雨空の中に華やかな色取りを加えている。アップダウンはあるものの、日出ケ岳に向かってただただ登り続ける。私にとってはこの方が良い……
頂上は眺望がきかない。風雨が強くなり、桃の木でもらってきた熱いお茶が体の隅々までいきわたる。生き返った心地がする。あのお茶がこんなに美味しく感じるとは……
正木ケ原を散策することもなく、大台ケ原の駐車場へと向かった。
今回もまた皆の親切が身にしみた山行であった。皆さん有難うございました。
(伊丹立子)



<感想>
 宮川発電所口からの登りの凄いこと。雨でもあるし道幅も細くでこぼこ道、太い鎖にしがみっぱなしの私、眺めは上々でも心はヒヤヒヤ。足元注意の立て看板が嫌でも目に入ってくる。合羽の中も滝の様な汗か? 冷や汗がビッショリ。京良谷にて小休止、岩は厚い苔を纏ってマリモのごとく静かに転がっていた。
『千尋の滝』では歓声をあげて豊かな流れを観賞、あふれるマイナスイオンを浴びました。
苦手な吊橋を幾つか渡ると、シシ淵の滝がゆったりした姿を見せてくれた。
水面は鏡のように澄んで静まりかえった不思議な光景で、これが「滝絵巻」かと思引き込まれそうな美しさに何時までも浸っていたい心地でした。
岩肌に懐かしい山菜のミズ(ウワバミソウ)を発見。夏にはもっと太く紅色が冴えてくる。
山椒味噌和えにすると美味しい。秋田の夏の田舎料理を思い出した。
山の家に到着後、すぐにお風呂に入る。一畳ほどの立派な浴槽は桧の香りがほのかにして、ぎゅうぎゅう詰めでもスキンシップが出来て有り難い入浴でした。
翌朝6時出発。今日のハイライトのシャクナゲにお目にかかれますようにと念じて怖い吊橋と急登を頑張って歩く。
ほの暗い山中の花の色は鮮やかで疲れも消える。山でシャクナゲを見るのは初めてでその見事さに大満足でした。
堂倉小屋前で雨具を着用してからは、我慢、我慢の頂上までつらい登りでした。頂上到着の嬉しさに浸るまもなく、昼食をすませ早々に下山しました。暖房のきいたバスに乗ってやっとひと心地がついた。
『大台ケ原は400日雨が降るのだとか!』頂上から富士山が眺められる人は、余程運の良い人かも。
私も何時かその日にかけてもう一度登ってみたいものです。
(大谷典子)