夏山シリーズA 南アルプス
甲斐駒ケ岳(2967m)・仙丈岳(3033m)
日 時 | 2003年7月24日(木)〜7月27日(日) |
天 候 | 晴れ時々曇りのち雨 |
A班 コース |
7/25(金) 北沢峠(長衛荘)4:10発→仙水峠5:29→駒津峰7:28→甲斐駒ケ岳9:17→ 双児岳12:26→北沢峠14:25着 7/26(土) 北沢峠(長衛荘)4:08発→大滝ノ頭5:48→小仙丈岳7:16→仙丈岳8:30→ 大滝ノ頭12:50→北沢峠14:10着 |
参加者 | 男性7名 (リーダー・記録)佐々木、平尾、宮野、倉光(正)、岡部、田中、上角 女性4名 (サブリーダー)堀尾、倉光(展)、長野、澤田 合計11名 |
B班 コース |
7/25(金) 北沢峠(長衛荘)4:00発→仙水小屋4:55→仙水峠5:30→駒津峰7:40→ 甲斐駒ケ岳9:45→駒津峰12:05→北沢峠15:40着 7/26(土) 北沢峠(長衛荘)4:10発→大滝ノ頭6:10→小仙丈岳7:50→仙丈岳9:40→ 仙丈小屋11:20→大滝ノ頭13:55→北沢峠15:25着 |
参加者 | 男性4名 (リーダー)弓仲、山口、奥野(俊)、小山 女性7名 (サブリーダー)杉本、伊丹、大谷、玉井、中村、浜北、山田 合計11名 |
A班・山行報告
第1日目 白き岩峰甲斐駒ケ岳へ
午前4時10分北沢峠を出発した。明けやらぬ樹林帯の道に11個のライトが光る。長衛小屋から川の流を聞きながら北沢沿いに登り始めた。仙水峠までは比較的緩やかな道であった。樹林帯を出て破砕された岩石の堆積した道を抜けると、眼前に摩利支天の威容な岩峰と、白み始めた東の空の雲海の上に青き鳳凰三山の山々が望める仙水峠についた。ここでB班と一緒に朝食にした。ひんやりした空気が心地よい。
仙水峠からか駒津峰への道は急登で標高差500mを休み休み登る。樹林帯の開けた場所で振り返れば、雲海を突く北岳・仙丈岳・地蔵岳のオベリスクがはっきりと眺望できた。目指す甲斐駒ケ岳も顔を出しては雲間に消える。雲の演出する景観の変化がまた楽しい。心配していた天気もよくなる気配に、山容全体が明るくなってきた。駒津峰山頂で後続のB班を待ちながら、風雲の中に白きピラミダルな甲斐のロックゲレンデや、南アルプスの名峰が変わり行くスクリーンのように映し出される姿を眺めながら、素晴らしきひと時を過ごした。A、B班合同で記念撮影をした
駒津峰からは稜線の切り立った道を巨岩の六方石までくだり、一息入れて、摩利支天の肩をまくように主峰に続く白ザレの道を慎重に登る。やがて、花崗岩貫入体の白き頂上に到着した。頂上は古くからの信仰の山らしく不動明王が祭られていた。北沢峠からゆっくり登頂で約5時間の行程だった。
下山は、駒津峰から双児山のコースをとった。長く急な下り道を戻った。双児山から仙丈岳を望み長い休憩をしている頃から天気が崩れ、樹林帯を九十九折に下っている頃から本格的に雨になった。北沢峠14時25分無事到着。
第2日目 花の百名山仙丈岳へ
夜半中強い雨が降り続いていたが、明け方は星が見えるほどだった。降水確率50%天候は期待できないかもしれないと覚悟の出発だった。バス停側から大滝ノ頭・小仙丈岳・仙丈岳・馬の背ヒュッテから大滝ノ頭・北沢峠のルートを、ゆっくりとした時間配分で登ることにした。5合目の大滝ノ頭までの樹林帯の切れ間からは、昨日登った甲斐駒ケ岳のシルエットの彼方からの朝日の輝き昇るのが見えて感動した。5合目で朝食、樹林帯を出てハイマツの道に出ると、雲海を下に四方の山々が競うように聳えている光景が眺望できた。小仙丈岳も目の前だ。全員比較的元気だ。小仙丈岳に着くと北岳のピークの向こうに富士山が眺望できた。日本の第1,2の高峰のそろい踏みだ。360度の景観を楽しみながら仙丈岳には8時30分に登頂した。北岳・間ノ岳・塩見岳や北アルプス・中央アルプス・八ケ岳や奥秩父の山々・恵那山等、その同定に忙しい感激だった。山頂でゆっくり寛ぐ至福のときは、素晴らしい。
大仙丈岳に行きたいとのりクエストがあり、後続組の登頂を待つ間と下山の時間を見てOKした。
寂しくなった山頂に、イワヒバリの来訪があった。人なつっこく足元まで近寄ってくる。カメラを向けても逃げない。山頂で2時間近く過ごし下山した。
下山ルートは、お花畑のオンパレードで贅沢な登山道をゆっくり下る。藪沢カールの懐のうえに聳える仙丈岳の頂上に別れを告げ、北沢峠に14時10分到着。
(報告者:佐々木英夫)
B班・山行報告
7月25日(金)甲斐駒ケ岳
長衛荘を4時に出発し仙水小屋に着く頃には明るくなり、快調に高度を上げる。仙水峠・駒津峰で休憩中のA班に追いつき全員で記念撮影する。
駒津峰からは岩場でアップダウンありさすが3000m級の日本百名山、なかなか厳しい山だ。予定より随分早く9時45分に頂上に到着した。雲海が広がり正面に鋸岳、その奥に北アルプス連峰を遠望、360度の展望でのんびりコーヒータイム。10時40分に下山し、12時5分には駒津峰に到着した。あとは雨の中をひたすらに樹林の中を下山し、長衛荘に到着したときにはびしょ濡れでしたが予定より早く15時40分に到着した。
7月26日(土)仙丈岳
前日に足を痛めた弓仲さんに代わり、リーダーを引き受ける。今日も4時出発でたっぷり時間をとったのでゆっくりと登る。大滝ノ頭で朝食、樹林の間から甲斐駒・中央アルプスが顔を出す。頂上までは花の仙丈岳と言われるだけに左右に目を楽しませtくれる。B班には花博士の杉本さん、浜北さんがいてしばしば花休憩、お陰であまり汗もかかず登れた。それでも予定より早く到着したので休憩を1時間20分取り、その間に大仙丈岳に登ったり花を楽しんだりとそれぞれに仙丈岳を満喫しました。
下りの予定コースは、藪沢大滝付近は雪渓の状態が悪くて危険との情報で、藪沢小屋から五合目へと登ってきた道を下りました。予定の時間前に到着し、A班が用意してくれた臨時のバスで予定より30分も早く仙流荘に到着しました。
2日とも先頭を歩いていただいたサブリーダーの杉本さん有難うございました。
(報告者:山口博)
<感 想>
高遠町から長谷村に入り、南アルプス林道からは、マイカー規制で臨時の村営バスに乗り換える。車窓から花が見え運転手さんも色々教えてくれる。シナノナデシコ、クガイソウ、ホタルブクロ、センジョウガンピ、フジアザミ、タカネビランジ……。
小1時間で北沢峠につく。南アルプスの原生林を見ながら長衛小屋まで皆と散策した。長衛小屋の前の河畔に地元の新聞にも取り上げられたことのある大きなドロノキが幹を投げかけていた。
翌日A、B2班に分かれて4時に出発。樹林帯を抜けたら正面に山塊が見えて、辺りはガラガラの粗大な岩塊が積み重なっている不思議な光景。1万数千年前の氷河時代の置き土産の岩塊らしい。仙水峠で朝食。左前方には摩利支天がのそっと聳え、その上が甲斐駒ケ岳らしい。ここから標高差約400mの登りにかかる。振り返ると栗沢山の右に北岳が顔をのぞかせていた。はるか左の特徴的な岩峰は、地蔵岳のオベリスクとのこと。富士山も雲間にその裾が見えた。急登を登り切って駒津峰につく。そこからは岩尾根を下り六方石へでる。花崗岩の風化した道が続く。途中「雪光花」の石碑があり、覗きに行ったがついにどの花かわからずじまい。9時17分山頂に立つ。全員登頂、握手で迎えそろって記念撮影。駒津峰へ引き返し昼食。
下山は双児山をへて雨が降り出す中を峠まで戻った。明日の天気を気にしながら眠りに着いた。
翌朝暗い中、ザックカバーをして4時出発。2合目の手前から振り返ると朝陽が栗沢山の方から出ている。5合目で食事。樹林の合間からは穂高が見え、下界は雲海に包まれその広がる先に乗鞍岳、北アルププスの連嶺がはっきりと見える。南には中央アルプス、奥に御嶽山、その隣奥に白山も見える。甲斐駒ケ岳、鋸岳の向こうには八ケ岳が並んでいる。素晴らしい展望。小仙丈岳からは、花が多くなり展望と花がいっぺんに楽しめた。8時30分仙丈岳山頂。大仙丈岳にも行き、お花畑が素晴らしかった。下山は仙丈小屋から馬の背を通る。太いヘビのように残るカールの雪渓を下から眺め、色とりどりの花を見たり、クジャクチョウも見た。14時10分全員無事下山。
50歳到達記念の想い出に残る楽しい山行ができたことを会の皆さんに感謝します。
計画から運営までお世話になり、有難うございました。
(平尾繁和)
荒川三山から三日あけて行くことにした。長衛荘に連泊。日帰り装備で良いのが魅力で、「何とか行けるかな!」と。唯一天気だけが心配、荒天で縦走できなかった荒川三山の二の舞になったら『最悪』と思いながら。
両山とも、3時過ぎに起床、4時出発で比較的、ゆっくりと歩けた。仙丈岳を登っている途中でご来光!右手に槍ケ岳が見える。頂上の展望は素晴らしく、御岳から北アルプス、北岳から八ケ岳と見飽ることがない。
花は色とりどりに咲いていて、本当に来て良かった。時間がありそうなので、リーダーに「大仙丈岳に行きたい」とお願いし、1時間以内に往復する事を約束して7名で出発。ここもまた、花・ハナ・はなでイブキジャコウ草、お山のえんどう、シコタン岩ぎきょう、等数えたらきりがない。「紅輪花」を見れたのは、ここでの収穫。ナナカマドの白い花が、真赤な実をつける紅葉の季節も、もっと良いだろうなー
全てはお天気しだいと、山は「早立ち」のゆとりを感じた山行でした。
(長野雅子)
甲斐駒ケ岳へ 朝の4時は7月末と言えどもまだ暗かった。途中の仙水小屋でかの有名な『南アルプス天然水』を補給する。辺りはすっかり明るくなり、足元はごろ石になりとても歩きづらい。振り返ると北沢峠をはさんで仙丈岳が正面にせり出していた。稜線の鞍部に出るとそこは仙水峠で眼前に摩利支天の岩峰が仁王のごとく聳えていて驚いた。急登の道に次々現れるお花に助けられながら駒津峰に着く。傍らに一株のタカネコウリンカを見つけた。可愛い朱赤のたんぽぽ状の花を咲かせていた。やせ尾根を30分ほど行くと六方向に林立する六方石に出た。更に登ると一面ダケカンバの茂る花崗岩の砂礫を踏みながら摩利支天の頂上に出て、ザラ場を登りつめると甲斐駒ケ岳の頂上。古くからの信仰の山らしく不動明王の石祠が安置されていた。広くて明るい頂きで気持ちよくあたりを眺めました。東の方向に畳状と横たわる雲海を台座にして地蔵岳のオベリスクがピッと天を指して個性的である。8年前鳳凰三山縦走の想い出が蘇ってきた。1時間足らずゆっくり楽しんで急坂の双児山経由で下山途中に雨が降り出した。9時間半の道程であった。
仙丈岳へ 早朝の涼しい空気と日帰り荷物のお陰でみんな快調。足元にはヤグルマソウが矢羽状の大きな葉を広げていた。樹林帯の切れ間で神々しく朱色に輝く日出のショーを楽しませてもらった。森林限界の5合目大滝ノ頭で朝食をいただく。藪沢ルートで尾根を登る。見事なダケカンバがシラビソと交代して明るくなり、やがてハイマツの出番となった。小さなピーク小仙丈岳に着いた。大らかな砂礫の稜線となり、左側は小仙丈沢カールでとりどりのお花畑が広がっていた。遂に仙丈岳制覇。8時30分、早発ちが功を奏し、涼しいの登りを満喫できて良かった。富士山の素晴らしい稜線と北岳の姿はガスが沸いて隠れてしまったけれど、中央アルプスの山並みが見渡せ、昨年縦走した槍の穂先が見えて感無量になった。北には昨日登った甲斐駒ケ岳と鋸岳が連なり遠くには八ケ岳連峰が浮かんで見えた。反対方向には恵那山が見えて嬉しかった。みんなでかつぎあげた水を沸かして美味しいお茶をいただき、3033メートルでの至福の時を過ごした。また、大仙丈岳へも足を伸ばし、大カールに広がる斜面に現れる花達に感動しながら、満ち満ちた気持ちを味わった。山頂での2時間は時を忘れて過ぎていった。
2日間に標高差1000メートルの登下降となり合わせて4000メートルという道程は初めての経験であった。
(堀尾洋子)